第二十一話「海と陸と西方」
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軍事力を目の前で見た西部方面騎士団は近代化に積極的であった。その為アルゼンチン帝国が無償で提供したパーパルディア皇国のマスケット銃(鹵獲品)を大量配備しその力を強化していた。他にも研究以外では必要ないとワイバーンロードすら提供してくれたため西部方面騎士団のみならずクワトイネ公国の空軍力が強化されていた(因みに帝国領パールネウスは自治領統合軍が軍関係を行っているのでクワトイネ公国よりも軍事力は高い)。
そしてつい最近それが終わりモイジは一気にやる事がなくなったのだ。妻や子と平和な時間を過ごしたり剣や新たな武器である銃の練習をしているがそれでも暇な時間が多くできた。
「……あら?貴方それはどうしたの?」
「これか?実は休暇を貰ってな。もしよければ一緒に行かないか?」
モイジが持っていた物それはアルゼンチン帝国への渡航券であった。
アルゼンチン帝国は本土への行き来を制限している。しかし、それでは国内の観光業などが衰退していますため限定的に行き来を行えるようにしていた。それが渡航券である。これがあればアルゼンチン帝国に入る事が出来る。友好国に対し多めに配っていた。
モイジは偶々ギムで売られていたのを発見し購入したのだ。
「まぁ!それはいいですね」
「あのアルゼンチン帝国だ。きっと見る物全てが新鮮に映るだろう」
「それは楽しみですね」
翌週、モイジは家族を連れアルゼンチン帝国へと渡った。最近では見慣れてきたとは言え獣人のモイジは目立ちアルゼンチン帝国の人々に改めて異世界に来たことを実感させるのであった。
「第三文明圏は正式に解散させよう」
神聖ミリシアル帝国帝都ルーンポリスにてパーパルディア皇国亡きあとの第三文明圏についての会議が行われた。
第三文明圏は元々パーパルディア皇国を中心とした文明圏だった為パーパルディア皇国が滅びた今文明圏としては存続できなくなっていた。アルゼンチン帝国を新たに第三文明圏の盟主にする事も出来たが極東国家連合という新たな文明圏ともいえる陣営を作ってしまったためにそれも出来なくなっていた。
「で、どうする?アルゼンチン帝国に使節団を派遣するか?」
「しかし我が国は世界最強の国だぞ?それなのに態々こちらから派遣するなど……」
「ですがアルゼンチン帝国は今後東方世界の代表的存在となるでしょう。それにパーパルディア皇国に代わり先進11か国会議に呼ぶのでその準備や指導を行うというていで行けば……」
「確かにそれなら問題ないな。検討と根回しを行うか」
後日、神聖ミリシアル帝国はアルゼンチン帝国に使節団を派遣する事を決定した。
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