第二十話「一年」
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惑だろうに」
「まぁしょうがないだろ。転移から最初の年明けなんだ。来年には落ち着くさ」
アイルサン・ヒドゥラーの言葉にエミリアは笑みを浮かべて答えた。静かな部屋の中にインペリオ・キャピタルの騒音が下品にならない程度に聞こえてくる。
「……来週、漸くまとまった休暇が取れる。その時に何処か遠出もするか?」
「お、いいねぇ!なら近場でドライブなんてどうだ?近場でもドライブは楽しいぞ」
「そうだな。そうするか」
アイルサン・ヒドゥラーは妻との静かな時間を噛みしめながら転移一年を祝うのであった。
「陛下!次元転移の準備がまもなく整います!」
アルゼンチン帝国が異類世界とは別の、地球とも違う世界に神聖グランフィア帝国はあった。その帝都ゲイルスフィアの皇城にて皇帝ダングレイル・レウル・ブレギルスは宰相から報告を受けていた。
「へぇ?意外と早く完成したんだね。今回はちゃんと起動するのかい?」
「理論上は、ですが。しかし、前回と違い今回は転移する先の座標が判明しています。失敗はまずないでしょう」
「それならいいけど」
神聖グランフィア帝国はかつてグランフィア大陸における統一王朝だった。しかし、二限の反乱や他国の介入などがあり今ではグランフィア大陸南部に追い込まれていた。取り戻そうと軍勢を出しても今やグランフィア大陸の大半を領有するアストリア合衆国の前に連戦連敗となっていた。防衛自体は出来ているがこのままでは取り戻すことは出来ない。
そこで神聖グランフィア帝国は戦力を手に入れるために別の世界から様々な技術や人的資源を奪おうと考えた。そして転移装置は完成し早速行われたが行きついた先は次元の狭間を浮遊中だったラティストア大陸だった。現在ラティストア大陸は神聖グランフィア帝国の完全な支配下にあり少しづつ要塞化や魔導兵の投入が行われている。
「ラティストア大陸にあった内容から察するに後数千年は浮遊していたようですがそれでは待っていられないので多少元居た場所からはずれますが一週間後には転移が可能です」
「転移させるに当たり必要な準備が整うのは後二週間後だったな。なら全ての準備が完了次第転移させろ」
「かしこまりました」
宰相は様々な部署に報告する為に謁見の間を出て行く。皇帝のダングレイル・レウル・ブレギルス以外の生物がいなくなった謁見の間でダングレイル・レウル・ブレギルスは抑えきれない笑みを零す。
「ふふふ、もうすぐだ。もうすぐで我々は異世界を支配しそこから得られるであろう力を持ってグランフィア大陸を取り戻す!そして世界を統べ余は世界に君臨する皇帝となる。ふ、フハハハハハッ!!!!!」
ダングレイル・レウル・ブレギルスは自らの野望を口に出し高らかに笑うのであった。
そして三週間後、
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