第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第4話 野生人形
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「愛宕様、私の鋼の移し身に力を授けて下さい」
勇美はそう唱えると、愛宕様の力が彼女が作り出す機械『マックス』に取り込まれていった。
すると、ガチャガチャと音を立ててマックスが変型を始めた。ルービックキューブのように体を構成するパーツが回転し、目まぐるしくその構造を変化させていったのだった。
そして変型が一頻り終わるとそこには、立派な鋼の体躯のが存在していたのだ。
それはキャタピラを持った戦車であった。だがそのボディのカラーリングは一般的な戦車のものである深緑色ではなく、マグマのように目を引く真紅色であった。
更に戦車と違う所は、砲身が弾を撃つものではなく、大型の火炎放射機である所だった。
「いっけえ、名付けて『カグツチブラスター』!」
そう勇美が叫ぶとマックスの砲身から轟音と共に勢いよく炎が吹き出されたのだ。
暫し炎の息吹は続き、それを勇美と依姫は見守っていた。
「はい、そこまででいいわ」
「わ、分かりました」
口を開いた依姫に対して勇美は答える。
「マッくん、もういいよ」
そう勇美が自分の分身に呼びかけると、みるみるうちに炎の勢いは弱まり鎮火していったのだ。
「マッくん、今回はもう休んで。愛宕様もありがとうございました」
勇美はそうマックスと愛宕様を労う。するとみるみるうちにその真紅の戦車は解体されていき砂のように掻き消えてしまった。
「お疲れ様でした。今日の練習はここまでです」
「ありがとうございました」
ここは永遠亭の敷地内の大庭園。そこで勇美は依姫に神の力を借りて新たなる自分の力を使いこなす修練を行っていたのだった。
◇ ◇ ◇
「依姫様も勇美さんもお疲れ様です、お茶とお菓子を用意しておきました」
そう言って現れたのは鈴仙であった。
「ありがとう、鈴仙」
「ありがとうございます」
それに対して二人は言葉を返し、鈴仙に案内されて庭園から休憩室へと向かっていった。
「ああ、このお饅頭おいしい〜」
「エネルギーを使った後は糖分を取るのがいいですからね」
お茶と甘味を肴に話に華を咲かせる二人。依姫のそう察した通り、勇美は先程の練習で体のエネルギーを消費していたのだ。
勇美の操るマックスは自立した機械ではなく、勇美の肉体の一部であるから動作させるには勇美からそれだけエネルギーを拝借する事になるのだ。
それだと動力源という話とは何かという事になるだろう。それはマックスを動作させるには勇美のエネルギーを使い、力の源には動力源が必要という訳である。
「それにしても貴方には驚かされましたよ、ここまで神の力を借りる事の上達が早いなんて」
「それは、依姫さんと神様が力を貸してくれるからこそですよ」
勇美は謙遜半分、本音半分でそう言った。
「それでも素晴らしいわよ」
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