第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第4話 野生人形
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れで人間に復讐すべく『人形解放』を目論んでいる事も。だがそれを幻想郷の閻魔に『あなたは視野が狭い』と指摘された後に、人間に近い性質である永琳と友好を結び、度々永遠亭を訪れては永琳に実験のために鈴蘭の毒を渡す仲になり、丁度今日そのために永遠亭に来た事も。
そこまでの話を勇美は真摯に受け止めていた。そして説明を受け終わると暫しの間の後に口を開いた。
「ごめんね、メディスンちゃん。そんな事情があったなんて」
「分かればよろしい」
そんな勇美に対してメディスンは憮然とした態度を取るが、先程よりもその態度が柔らかいものになっていた。
そして、勇美は続ける。
「私は人間だから、さすがに人形解放は応援出来ないけど、復讐心を持つななんて言わないよ」
復讐心を抱くに至った苦しみは、本人にしか分からないからと勇美は付け加えた。
勇美のその言葉にメディスンは面喰らってしまっていた。
「あんた、変わった事言うのね。大体の場合は『復讐なんてやめて』と言われると相場が決まっているのに」
「それはね……」
そこで勇美は自分の家庭環境について話し始めた。
今幻想郷の外にいる彼女の母親は支配型の人間で、勇美を自分の付属品として見ている事を。
更に悪条件として、その母親には多大なるカリスマ性が備わっていて、彼女の周りの大人の多くは彼女に心腹してしまっており、彼等もまた勇美を母親の付属品として見ているのだ。
勿論建前として母親や彼女の取り巻きは、『勇美のためを思っている』とか『本人の意見を尊重する』という名目を掲げるという徹底っぷりである。
そんな本当の愛を注がれない環境では勇美に悪影響を与えているであろう。そして、その悪影響は人間に愛情を受けられずに捨てられたメディスンと似通うものとなるだろう。
「だから、私はメディスンちゃんの事ちゃんと分かってあげないといけないと思うんだ」
「あんた……」
そんな勇美の話をメディスンは真摯に聞き入っていた。人間も自分が味わったような苦しみに晒される者もいるのだと。そう、彼女は視野を広く持たないといけないと自分に言い聞かせていた。
『分かち合い』とは互いに自分の主張を聞き入らせるエゴである場合が多い。だが今の勇美とメディスンは互いの境遇を言い合った事で、共感の心が芽生え始めていたのだ。
「そうだ!」
そんな中、勇美は突然声をあげた。
「どうしたのよ?」
新しい友達となりつつある人間の突然の声にメディスンは聞き返す。
「メディスンちゃん、私と弾幕ごっこしてよ」
「それはいい考えね。そろそろ貴方は戦ってみる相手が必要だと思っていた所よ」
勇美の発案に、依姫も賛同する。初めての弾幕ごっこの相手が、新しく出来た友達であるならこの上ない好条件だろう。
提案を受けたメディスンは暫し呆けてい
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