第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第4話 野生人形
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んなさいね。勇美、紹介するわ」
依姫はここに来て第三者に話題を持っていった。
「この子はメディスン・メランコリー。人形の付喪神よ」
「お人形さんですか?」
そう言って付喪神──メディスンへと視線を向けた勇美の表情はみるみるうちに綻んでいった。
その理由は、彼女の容姿がゴシック・ロリータ、通称ゴスロリと称されるような可憐なものであり、金髪に黒いリボンまであしらわれ、体も勇美よりも幼い少女に見えるものであったからだ。元が人形なだけあり、球体関節が剥き出しである事に目をつむれば……。
「かわいい〜♪」
という反応を勇美にさせるには十分なポテンシャルを秘めていたという訳である。
そして問題だったのが、勇美がその感情に忠実に行動を起こしてしまっていたという事だ。メディスンを抱きしめるという形で。
「な、何なのこの人間!? こら、やめんか〜!」
突然降り掛かった災難に、メディスンはもがくしかなかった。
「あ、勇美、悪い事は言わないわ。やめなさい」
依姫はバツが悪そうな表情で勇美に呼びかけた。
「依姫さん? なんで……」
勇美はそう言おうとした所で、異変を感じた。
「あ、何か体がだるぃ……」
そう言ってメディスンから離れてその場でへなへなとへたばってしまう勇美。その様子をメディスンと依姫は「やれやれ」と言った風にアイコンタクトをとった後、互いに溜息を吐いたのだった。
◇ ◇ ◇
「伊豆能売よ、この者の毒を清めたまえ」
依姫の側には世にも珍しい、巫女の姿をした神が顕現し、両手を翳して勇美に何か不可視の波動を送っていた。
「ああ、だいぶ楽になってきました〜」
横になりながら伊豆能売の力で治療を受けていた勇美は、顔色も良くなってきていた。
「馬鹿な人間ねぇ〜」
呆れながらメディスンは頭を掻いて言った。
「そう言われても聞いてませんよ、メディスンちゃんが『毒を操る程度の能力』を持った毒人形だったなんて〜」
そう、それが勇美が倒れ込んだ原因であったのだ。メディスン・メランコリーは鈴蘭畑でそれの毒に当てられながら妖怪化した人形なのだ。
「話も聞かないでいきなり初対面の相手に抱きつくあんたが悪い」
「う〜っ」
メディスンに世知辛い指摘を受けて勇美はうなだれる。
「依姫さん、何なんですかこの子は? ちょっと態度が辛辣ではありませんか?」
勇美はぷっくりと頬を膨らませながら、直接関係ない依姫に抗議した。
「……貴方には事情を説明してもいいかしらね。メディスン、いいかしら?」
「構わないわ。寧ろ知ってもらうべきよ」
メディスンの承諾を受けて、依姫は説明を始めた。
それは、メディスンが人形から妖怪化するに至った経緯が、人間に鈴蘭畑に捨てられたというものであった。
そ
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