第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第3話 好機
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…」
輝夜が相槌を打った。彼女は月にいた時、地上に行けばやりたい事が見つかるというやや受動的な姿勢でいた。
だがそれは間違いで、自分から求めないとやりたい事は巡って来ないと分かったのだ。
だから、今目の前にいる『やりたい事』が明確な少女に対して尊敬と哀愁の念を抱いていた。出来る事なら力になりたい。
輝夜がそんな想いを馳せる中、勇美は続けた。
「幻想郷の多くの者は私を『個人』として見てくれるから、とても嬉しいんです。だから弾幕ごっこを一緒にして交流を深めたいのですけどね」
またしても溜め息を吐く勇美。
この場にいる者達全員が何とかしてあげたいと思っていた。しかし、それは難しいだろう。
そこに依姫が口を開いた。
「まあ、取り敢えず永遠亭に泊まって行きなさい。明日人里に送ってあげるから」
「はい」
一通り勇美と永遠亭の重役達が話をした所で、一同は入浴等の準備をして寝床についたのであった。
◇ ◇ ◇
そして勇美は初めて永遠亭での朝を迎えて目を覚ましたのだ。
続いて顔を洗う等の準備をして昨日の夜と同じく食堂に向かったのだ。
「おはよう、勇美」
第一声を掛けてくれたのは依姫であった。ルーミアから助けた縁もあり、昨日のあの場で内心一番勇美の事を気に掛けていたのだ。
「よく眠れたかしら?」
「お陰様でバッチリです」
二人はそう言葉を交わした。
それに続いて他の永遠亭の者からも勇美に向けて朝の挨拶の声があがった。
「では朝食を頂きましょうか」
「はい」
そして一同は賑やかな朝食にありついたのだ。
ちなみに朝食は白米と味噌汁に魚とシンプルながら味付けのしっかりしたものであった。
そして朝食を終えた勇美は、暫しの休憩の後、てゐと共に永遠亭の玄関まで来ていた。
「それじゃあ、君を人里まで送るね」
「はい、お願いします」
「昨日はごめんね、途中ではぐれちゃって……」
「てゐさんは気にしないで下さい、私の不注意なんですから。それに竹の子はちゃんと採れましたから」
そう、勇美がてゐの案内の元竹林を散策していたのは、ここの物は非常に美味だと評判である竹の子を採るためだったのだ。
「それは良かったよ。じゃあ行こうか」
「はい」
そして勇美はてゐに連れられて永遠亭を後にしたのだった。
◇ ◇ ◇
それから数日間、依姫は心の隅に何か引っ掛かるものを感じながら永遠亭で過ごしていた。
他でもない、勇美の事だ。
たかだか人間一人の事である。だからいちいち気にしていては幻想郷では過ごしていけないだろう。だが、依姫は何故か気掛かりで仕様がなかったのである。
(もう一度あの子に遭おう)
そして依姫はそう決心してしまったのだ。
狂気の沙汰である。別に元弟子である鈴仙の
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