第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第3話 好機
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は参りましょうか」
ここでいつまでもぐずぐずしている訳にはいかない。依姫は予定外の客人と共に帰路に着く事にした。
「あっ、待って下さい」
それに対して勇美は待ったを掛ける。
「どうしたのかしら?」
少々訝りながら依姫は聞く。一体何だというのだろう。
そう思っていると、勇美は先程まで自分を襲おうとしていたルーミアの肩に手を掛けて言った。
「この子にも夕ごはん食べさせてあげて下さい!」
その瞬間、幻想郷の能力者が力を使った訳でもないのに、この場の時が止まった。
「えっ?」
「はいっ?」
「ええっ?」
そして勇美以外の三人から、言葉にならない疑問の声があがった。
──どうやら予定外の客人は一人増えてしまったようだ。
◇ ◇ ◇
「おかわり下さい」
「おかわりなのだ〜」
ホテルのレストランと見まごう程の永遠亭の豪華な食堂で、無邪気な少女二人は夕食のカレーのおかわりの催促を同時にした。
「はいはい、どんどん食べていいわよ」
そう言って永琳が手早く二人にカレーのおかわりをよそる。
その様子を呆気に取られながら見ていた玉兎がいた。
玉兎らしくブレザーのような軍服を着て、薄桃色のロングヘアーに、やはり玉兎らしくくしゃくしゃの耳。鈴仙・優曇華院・イナバである。
「あの……勇美さんでしたっけ?」
「うむう?」
話しかけてきた鈴仙に勇美は、継ぎ足されたカレーを頬張りながら返事をするという行儀の悪い対応をした。
「その宵闇妖怪は貴方を襲おうとしてたんですよね、それなのに今一緒に食事するって如何なものですか?」
鈴仙は極めて真っ当な疑問を投げ掛けた。
「う〜ん、そうなんですけどね〜。この子、お腹空かせてたみたいだから、それを頬っておけなかったんですよね」
その疑問に手早く答えると、庶民に中心に人気の献立であるカレーに再び食い付いてしまった。
「まあ、面白いお客さんが来てくれて退屈しなくていいわ」
その言葉を発したのは、勇美のように艶やかな黒髪をロングにして前髪を一直線に切り揃え、洋服のような構造の着物を纏った、日本人形のように可憐な様相の──永遠亭の主たる蓬莱山輝夜である。
さすがは大所帯の主を務めるだけの事があってか、その振る舞いは鈴仙よりも器の大きさを感じさせるものであった。
賑やかを絶対正義と考え、静けさを求める人を軽視するエゴを持つ人は多い。だが、今夜の永遠亭が予期しない二人の来客により賑やかになり、楽しい雰囲気を醸し出していたのは事実であった。
そのような憩いのひとときも終わりを告げた。
◇ ◇ ◇
「じゃあね〜、ルーミアちゃん」
「またね〜」
永遠亭の玄関にて勇美はルーミアを見送りに来ていた。
「カレー
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