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おっちょこちょいのかよちゃん
42 剣を持つ者
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を出る。
「そしてこの家系も皆、消滅させとけ」
「おう、恐ろしき黄人のあの家系を消滅させよ!」
 ベニートが唱えた。その場では何も起きなかったが、その剣の持ち主の血縁関係に当たる親戚が急死したのは確かである。そして正太の家は一瞬で炎上した。丸岡は近隣の住民に気づかれぬように認識術で自信とベニートが見えないように設定した。
「剣は手にした・・・。これを本部に持ち帰れば計画は一つ達成だ」
 周辺の住民が火事で大慌てする中、丸岡は計画達成に喜んだ。

 その火事の様を、一人の女子高校生が遠くから見ていた。その女子も静岡県に住むとある男子と同様の異常な感触を覚えるのである。

 夕暮れになり、かよ子は両親と共に浴衣に着替えて日本平の付近へと向かった。
「おっとっと・・・」
「もう、ゆっくり歩きなさい、本当におっちょこちょいなんだから」
「う、うん」
 三人はバスを乗り継ぎ、日本平に到着した。現地は既に混雑しており、杉山達を探すのにはこれでは無理だとかよ子は感じた。そんな時、羽柴夫妻とも出会った。
「あら、こんばんは」
「ああ、どうも、こんばんは。あれ、健君は?」
 かよ子の父が聞く。
「学校の友達といますよ。どうやら誘われちゃってね、その誘った子も女子なんですよ」
「女子・・・、か・・・」
 かよ子は三河口を誘ったという女子の行動力に尊敬したくなった。自分にももう少し勇気があれば杉山を誘えたかもしれない、と思った。やがて、空は暗くなり、花火が打ち上がった。
「綺麗な花火ね」
「うん!」
(杉山君も今こうして大野君と花火見てるのかな・・・?)
 かよ子は好きな男子の事を考えた。

 そして違う場所では三河口は黄緑基調で木の葉柄の浴衣を纏った奏子と共に花火を見ていた。
「ここの花火は綺麗だね」
「うん!」
 奏子は三河口と一緒でとても嬉しかった。その時、一人の大仏のパーマの女子がうろちょろ歩いているのが見えた。桃色基調の浴衣を着ている。
(ん、あの子はかよちゃんの友達の冬田美鈴じゃないか。大野君でも探してんのか・・・?)
 三河口はとりあえず冬田は無視して花火の堪能を奏子と共に楽しんだ。

 冬田は人混みの中で好きな男子を探す。
(大野君、どこかしらあ・・・?)
 その時、冬田は途中である男子に声を掛けられた。
「あれ、冬田じゃないか!?どうしたんだい?」
 この声が大野だと冬田は嬉しかったのだが、呼んだのは長山だった。長山は妹の小春や両親と一緒だった。
「な、長山くうん・・・」
「どうして花火見ないで歩き回ってるんだい?」
「いや、そのお・・・」
「まあ、混雑してて危ないからここで一緒にいようよ」
「ええ、そうねえ・・・」
 冬田は結局長山の家族と一緒に花火を鑑賞する事になった。


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