第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第2話 綿月依姫のスペルカード
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依姫とてゐは目的の人物を目の前にしていた。
それでは状況を説明しよう。
人間の少女を襲いかけているのは妖怪の少女である。金髪のショートヘアに赤い瞳、服装は白と黒のものであり、一番の特徴は頭に備え付けられた赤いリボンである。しかも……。
(お札……?)
依姫は訝った。何故そのような物が頭に? だが今はそれを気にしている場合ではないだろう。
この妖怪の少女はルーミアといい、闇を操る宵闇の妖怪なのである。普段は魔法の森によくいるが、いつもいる訳ではなく、時折他の場所にも現れるのだ。
そんな『たまたま』の事態に出くわしてしまった人間の少女は不運と言えるだろう。
そして、その人間の少女の特徴は、年齢は14歳位で、目元は依姫と同じようにややつり上がった『つり目』であり、目を引くのは黒のショートヘアである。共通点の多いてゐのと比べると癖のないサラサラとした艶やかなもので、ショートヘアとして見てもルーミアよりもさっぱりとした印象を受ける。
──ボーイッシュ。その言葉以外に彼女を指し示すのに適したものはないだろう。服装が少女のものでなければ、少年と間違われるかも知れない。ちなみにその服装は。
(……セーラー服というものかしら?)
そう依姫は思った。それは明治時代に外界から隔離された幻想郷では見ない代物だと。だとしたら……。
(この子、『外』の人間ね)
と、依姫は結論付けたのだ。
幻想郷には、ときたま『境界』と呼ばれる空間の裂け目に迷い込んで外界からやって来る人間がいるのだ。この少女もその一人という事だろう。
それはさておき、今やる事は決まっている。──人間の少女を助けなければ。
依姫の種族である月人は、遥か昔穢れが地上に蔓延する前に月へと移住し、寿命から逃れた者達である。だから今の地上の民とはかけ離れた存在であっても元は同じであるのだ。
だから依姫は人間の少女を助ける事にしたのだ。
「貴方、今の内に逃げなさい」
「何よ〜、私の食事を邪魔するの〜?」
依姫が人間の少女に呼び掛けていると、そこにルーミアが割り込んできたのだ。
彼女にとっても食事は死活問題である。それに水を指されたとあれば快くは思わないだろう。
「まあ、落ち着きなさい」
一方の依姫は落ち着いて言った。そして言葉を続ける。
「こういう時のための『スペルカード戦』でしょう?」
「やるんだね〜、受けて立つよ」
そう、幻想郷での揉め事を解決するために設けられているのが『スペルカード戦』である。かつて依姫が月で魔理沙に持ち掛けられたそれだ。
「さあ、今の内に」
依姫はそう人間の少女に催促した。だが彼女は何か物言いたげだ。
「今から貴方は『弾幕ごっこ』をするんですよね?」
そう依姫に聞いてきたのだ。
『弾幕ごっこ』。それはスペル
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