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MOONDREAMER:第二章〜
第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第2話 綿月依姫のスペルカード
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【炎弾「伊の英雄の火礫」】!」
 そう宣言し、依姫は火の灯った腕を軽く闇鳥目掛けて振った。するとそこから実際に炎の弾丸が発射された。
 鳥は弾けるような音と火の粉をあげて四散してしまった。
「この火は闇を照らすだけではないのですよ」
「補助にも攻撃にも使えるなんてずるい〜!」
 愛宕様の火の汎用性にルーミアは歯噛みした。そして依姫は続いてその炎の投擲で残りの鳥を全て殲滅してみせたのだ。
「ふぅ、これでまた一段落ね」
 依姫は肩の力を抜いた。だが、頭の中で別の火が着いてしまった者がそこにはいた。
「凄いです! あの人気の髭のおじさんさながらですね!」
 人間の少女からであった。どうやら有名なキャラクターの戦法さながらで興奮してしまったようだ。
「その話はやめなさい。色々危ないから」
 すかさず依姫は少女に突っ込みを入れた。
「ちなみにその火を消す際には玄爺(亀)に噛まれればいいんですよね」
 突っ込まれても少女の暴走は止まらない。
「それで私は身長が半分位に縮む訳ですか……」
「ちっちゃくなった貴方も素敵ですよ〜、抱きしめたい〜♪」
「……全くもう」
 と、二人だけに分かる内容のやり取りをしていた。
(何言ってるのさ……)
(何言ってるのか〜)
 そして、話に取り残される二人も当然いたのだ。
 そんな流れになっていたが、ルーミアは気を取り直し、構えた。
「【闇符「ダークサイドオブザムーン」】!」
 そして、更なるスペル宣言をした。
 すると、ルーミアの姿がみるみるうちに闇に消えていくではないか。まるで筆に付いた黒の絵の具をバケツの水の中に溶かすように。
「これなら、その火の明かりでも見えないでしょ〜」
 まるで月の裏側が地上からは確認出来ないが如く、どこからともなくルーミアは言った。
「洒落た真似してくれますね……」
 依姫は目を細めて呟いた。その効果もさる事ながら、スペル名もまさに月の裏側に住む依姫にとって皮肉が利いたものとなっていた。当のルーミアはそのような事を狙ってはいないのだろうが。
「それならばこれですね」
 言うと依姫は心の中で太陽の神、天照大御神に呼び掛けた。そして、スペル宣言をする。
「【光符「地の底すら照らす太陽の爆ぜ」】!」
 その宣言と共に依姫は手を天にかざすと、そこに燦然とした光の塊が現出したのだ。さながらミニチュアの太陽である。
 そこから放出される膨大な陽光が辺りをまんべんなく照らしていった。そして祓われる闇。
「あれっ!?」
 驚きの声を出したルーミアが目の前にいた。完全に闇を祓われ、闇に溶けていた彼女の姿もあらわとなったのだ。
「これで最後かしら?」
「ぐぬぬぅ〜」
 完全に虚を突けると踏んだルーミアのスペルも軽々と攻略されてしまった。だが、まだルーミア
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