第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第1話 出会い
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はい、お姉様。私はこの幻想郷で色々見て回るべきだと思うのです」
そう依姫は言った。
かつて月侵略の異変を起こした八雲紫の管理下にある幻想郷。そこは人間と妖怪や神すらも共存する楽園だったのだ。
そのような世界と深い関わりを持ちたいと依姫は考えたのである。
それ自体に興味があるし、かつて月にロケットでやって来た者達に対して思い残した事にも再び向き合えるだろうから。
「でしょ、だから大船に乗った気持ちで後は私に任せなさいな」
「わかりました。お願いしますね」
こうして互いの了承は進んでいったのだ。
「じゃあね、依姫。行くわよ、レイセン」
「はい」
豊姫の呼び掛けにレイセンが答えた。
そして二人はその場からかき消えてしまったのだ。予備動作も予兆もなく、本当に『忽然』と。
(我が姉ながら、いつ見ても凄い能力ね……)
と、依姫は暫し呆けていた。だが、ずっとそうしている訳にもいかない。
(さて……と)
依姫はそう心の中で呟くと、彼女にとって第二の我が家となった永遠亭へと戻っていったのだった。
◇ ◇ ◇
「お帰りなさい、依姫」
永遠亭の中に入ると、依姫を迎えてくれる者がいた。
容姿は銀髪を長髪にして一本のお下げにして後ろで纏め、紺と赤が基調のナース服とも中華服ともつかない珍妙な出で立ちをした人であり、この人こそが……。
「ただいま帰りました、八意様」
そう、綿月姉妹の師である八意であったのだ。
ちなみに下の名前は地上の住人には発音出来ないので、ここでは『永琳』と名乗っているのである。
今は彼女は地上の住人であるため、ここからは永琳と表記する事にする。
綿月姉妹も永琳と呼ぶべきだとは思っているのだが、永い間慣れ親しんだ呼び方である『八意様』が定着してしまっていて、『永琳様』では違和感を覚えてしまうのであった。
だから今まで通り八意様と呼んでいたし、永琳も呼び方を変える事を無理強いはしなかった。
「貴方の部屋はもう用意してあるから、そこでゆっくりしていていいわよ」
「ありがとうございます」
永琳の計らいに依姫はお礼を言う。
ちなみに、永遠亭の内部はここの主の一人である蓬莱山輝夜の能力によって『中だけを』拡張でき、それに上限はないから増築し放題なのであったので、依姫一人分の部屋を新たに用意する事など造作もなかったのだ。
「それはそうと八意様。今更なんですけど……」
ここで依姫は新たに話題を持ち出す。その顔はどこかひきつった笑みである。
「何かしら、依姫」
永琳はその先を促す。
「八意様は月ロケットの囮の際に、最終的にスペルカード戦に落ち着く事は予想してたんですよね?」
依姫はあの時の異変の話を持ち出したようだ。
「ええ、そうよ」
永琳はさらりと言ってのけ
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