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緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
緋神の巫女と魔剣《デュランダル》 IV
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……ね?」


身を半身だけ翻し、諭すように2人に告げる。
そしてまた、ジャンヌの方を向き直って、


「様子見だけの前戯は、これで良いだろう? 戯れもここまでだ。正直言って、俺たちは君に構っている余裕はないからね」


本心と挑発を僅かに織り交ぜたその言葉とともに、小さく溜息を吐く。眼前のジャンヌを一瞥すると、柄を握る手に青筋が浮かんでいた。アリアの挑発の時よりも、恐らく強い感情。
無駄にプライドが高いのだろう。今回だけは仇になりそうだ。
私情を入れた方が不利になる。自分はそう、思っているから。

《緋想》を手首で回しながら構え直す。
《明鏡止水》は今も継続中だ。ともすれば同時に、陰陽術の能力上昇も意味している。決めるならここしかないのだ。
今までは短期決戦で済んでいたが……恐らくジャンヌは、《魔剣》は、手強い。そう考えていいだろう。


「……そんな矮小な刀で、貴様に何ができると? ただの斬れ味の良い日本刀では、この聖剣デュランダルには敵わん。情報は確かに有力だが、最後に生きるのは、力ではあるまい?」


挑発を挑発で返したジャンヌの一言で──何かが瓦解していく音が聞こえた。何の音だろう、と意識を聴覚の一点に傾注させる。


「……大刀契の何を知って、君にそんなことが言えるの?」


外界から聞こえているのか。……否。それでは何処から?
自分の中からだ。脳内で、何かが崩れ落ちてゆく音色が。


「そもそもの話、恐らく君は──俺を過小評価しすぎている」
「……?」


本心と言わんばかりの疑惧の念を露わにして、ジャンヌは訝しんだ。自分の《策》に不都合が生じている。そう、類推しているはずだ。そしてその類推は、間違っていない。


「君は俺のこと、何処まで知っているのかな?」


脳内で不気味に響くその音色は、飽きを知らないほどに存在感を増してゆく。何が瓦解しているのか。もう、自分の中でそれに見切りは付いた。
だから、たまには、その感情に身を委ねても良いかもしれない。私情を持ち込むのも、突発的な感情に身を委ねるのも駄目だって、アリアに始業式のあの日の朝に、告げたんだけどね。

けれど、大刀契を揶揄されることだけは聞き捨てならないかな。


「如月彩斗という個人にとって、大刀契は決して遠縁にはなれない。何故なら元来は護り刀であり、一族の系譜を継いだ唯一の宝具であり、そして何より──」


言い、背後に控えているアリアを一瞥する。


「──この刀で、本当に護るべき存在を。……傷付けて護ってしまったようなものだから」


《緋想》の柄を握る手に、力を込める。
……恐らく、これ(・・)は長くは保たないし、そもそも発動するのは数年
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