第十八話「それぞれの動き2」
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った。
「……また、戻って来れるとはな」
パーパルディア皇国の皇女レミールは再開発が行われているエストシラント、現ラグナ―・インペリオに戻ってきた。エストシラント空襲からまだ一月ほどしか経過していない。それなのにレミールは随分と離れている気になっていた。
レミールは未だ治らない左腕と右足にギブスを付け帝国軍の女性士官に車椅子を押してもらいながらラグナー・インペリオを見る。瓦礫などは大体が撤去され今は大工の寝泊まりする仮設住宅が並ぶ何とも殺風景な物となっていた。かつてレミールが住んでいた館も、栄華を誇った街も、皇帝の居城も何もかも無くなりあのころとは全く違ったアルゼンチン帝国の都市がつくられる。
「(ああ、願わくばアルゼンチン帝国がこれ以上パーパルディア皇国、いや帝国領パールネウスの者たちを虐げないように祈るばかりだ)」
レミールは一月前と比べやせ細り生気のない体を車椅子に深々と座らせ今後を祈るのであった。
「魔王、ね」
「いかがいたしますか?」
インペリオ・キャピタルの総統府にてアイルサン・ヒドゥラーはトーパ王国からの使者から聞いた内容の報告を受けていた。内容はかつて封印されていた魔王が目覚めたため討伐するのを手伝ってほしいというものだった。
パーパルディア皇国との戦争も終わり余裕が出来つつあるアルゼンチン帝国だが流石にこれ以上の戦争は避けたいというのが本音であった。
「本来なら無視する、というのが普通だがこれを見る限り、な」
「魔王とその配下の二体のオーガですね」
「ああ、恐らく我々が調べた中では一番最強だろう。更に型落ちとは言えオーガも千を超えている。配下のゴブリンも含めればフィルアデス大陸程度なら制圧できるだろうな」
フィルアデス大陸南部を勢力下に置くアルゼンチン帝国からすれば無視する事は出来ない。
もし、ここで援軍を派遣しなければフィルアデス大陸北部から人々が逃げてくる可能性がある。そうなれば獲得したばかりのフィルアデス大陸南部の領土は大混乱に陥るだろう。そうなるのは避けたいのが本音だった。
アイルサン・ヒドゥラーは決断する。
「……仕方ない。ヨルムンガンド級原子力空母を旗艦とした特殊機動艦隊を向かわせろ。決して上陸せずに海から殲滅するのだ」
「もし、それで倒せなかったら?」
「その時は負担になるが軍勢を送る必要があるな。最悪の場合……」
アイルサン・ヒドゥラーはその先を言わなかった。アルゼンチン帝国最大の切り札にして惑星破壊兵器。使えばその土地は死に絶える禁忌の兵器をアルゼンチン帝国は厳重に封印していた。それこそ国家機密と言えるほどに。
だからこそアルゼンチン帝国は願う。願わくば、禁忌を使わずに済む程度であるように。
「…
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