暁 〜小説投稿サイト〜
提督はBarにいる。
艦娘とスイーツと提督と・44
[1/3]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
      〜白雪:アップルクーヘン〜

「悪い継母に騙され、毒りんごを食べさせられて眠ってしまった白雪姫は、王子様のキスで目を覚まし、幸せに暮らしましたとさ」

「いきなり何言ってんですか司令官」

 リクエストしたケーキを食べながら、ジト目で此方を睨んでくる白雪。リクエストは『旬のりんごを使ったケーキ』……そこで俺がチョイスしたのがドイツの伝統的なりんごを使ったケーキ・アップルクーヘンだった。

「いや、だってよぉ。白雪って名前にりんごと来たら、そら誰だってイメージしちまうだろ?『白雪姫』」

「はぁ……やっぱりそうですよね、そうなっちゃいますよねぇ」

 盛大な溜め息を吐く白雪。どうやら姉妹達にも同じ様なからかわれ方をしたらしい。

「お陰で寮の部屋でも好きな時にりんごが食べられないし、間宮さんの所に行ってもりんごのお菓子を頼もうとすると意識しちゃって、最悪ですよもう」

「気にしすぎだって。いちいち周りの目なんざ気にしてたら、息苦しくっていけねぇや」

「そりゃあ、司令官はそういうの気にしない質かも知れませんけど……」

「オイオイ、ひでぇ言い草だな。ところで白雪、アップルクーヘンのお味はどうだ?」

「へ?美味しいですよ、普通に」

「そうか……いや、それを聞いて一安心だ」

「?……どうかしたんですか、司令官」

「いや実はな……」

 白雪からりんごのケーキ、というお題をもらって真っ先に思い浮かんだのがアップルクーヘンだった。ただ、俺も名前を聞いたり土産物として買った事はあったんだが、作った事は無かった。ただ、ドイツ生まれのお菓子らしいという事は名前の響きで解っていたんでな。試作を重ねて納得のいく物が出来た時に、ドイツ組に試食を依頼したんだが……食べる前に『こんなのはアプフェルクーヘンじゃない!』と総ツッコミを喰らってな。

「ええぇ!?何でそんな事になっちゃったんですか!?」

「あ〜、それには重大な見落としがあってな。実は日本でアップルクーヘンは2種類存在するんだ。見た目も作り方も違うのに、同じ名前のお菓子がな」

「へっ?そんな事有り得るんですか」

「まぁ、その辺は魔改造大好き日本人らしいやらかしっちゃあやらかしなんだが」




 ドイツ組の言うアプフェルクーヘン……伝統的なアップルクーヘンってのは、メレンゲとアーモンドの粉をベースにレーズンやクルミ、すりおろしたりんごなんかを加えた生地にスライスしたりんごを並べて焼き上げた、りんごタルトとパウンドケーキを足して2で割ったようなお菓子だった。白雪に出したのもこっちだな。

 対して、元々俺が知っていたアップルクーヘンは、小ぶりのりんごを丸ごとコンポートにして、その周辺を覆うようにバウムクーヘンの生
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ