後編
[6/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
グで時間切れです。私が躊躇したことで、攻撃のチャンスを逸してしまいました。
皆さんが危険だというのに、私はもう動けない・・・。
後はただ『スピカさん=シャドウ』を見つめることしかできないのであります。
『スピカさん=シャドウ』がこちらに向きを変えました。そして再度 火球攻撃を発しようと・・・。
その時、私の大事な『あの人』が、私と『スピカさん=シャドウ』の間に駆け込んできたのであります。
『彼』は召喚器を頭部に向け、「キングフロスト!」と声を上げました。
きらめきとともに雪の精霊の王が召喚され、そして・・・
「技師連中も納得いってはいないようだったが、最終的にロボットの暴走事故ということになった。」
事件の3日後、寮の1Fロビーで美鶴さんがみんなに言いました。
「まあ、他の説明がつかない以上、それで納得してもらうしかないだろう。影時間に起きたことは、事実とは違って認識される。いつものことだ。」
真田さんがそう答えました。
「和久田技師は病院に運ばれた。今は影人間状態だが、シャドウを倒したことだし、じきに回復するだろう。」
美鶴さんはさらにみんなに報告を続けました。
「ロボットについては、『ATOM』の破損は外装部分のみ。『8-MAN』は破損がひどく、上半身と下半身に分解してしまったので手間がかかるが、修理は可能だ。幸いだったのは敵シャドウの弱点属性が氷結だったことだな。『ジロー』と『スピカ 』は取りついたシャドウのみを倒すことができ、ロボット本体のダメージは軽微らしい。」
あの時、私はスピカさんを攻撃することができず、守るべき『あの人』に逆に守られてしまいました。感情に行動が阻害されるということは戦闘兵器としては致命的欠陥と言えるであります。人の心に近づくということが兵器である自分を劣化させるのであれば、それに意味はあるのでしょうか。
しかし「心」を持つことで、ペルソナという力を得ていることも事実。人間である皆さんを見ていても、「心」を持つあの方たちが私より弱いとは思えません。ということは、「心」があるゆえの強さというものがあるのだと推測されます。
もし私がただの兵器であれば、スピカさんを完全に破壊していたでしょう。しかし、結果的にそれをせずに済んだのも、「心」の成し得たことならば、それを求めることは悪いことではないのかもしれません。
何より皆さんの感情のきらめきを見るとき、私はそれを好ましいと感じ、自分もそうありたいと思うようになってきています。それが「生きる」ということであるならば、私も生きてみたいと思うのであります。
「それにしても、結局、どうしてスピカはアイギスを呼んだんですかね。まるで事件が起きるのを知ってたみたいに。」
順平さんが不思議そうに言いました。
「まったく奇妙なことだ。和久田技師はイベント前の
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ