第八十一話 張飛、陳宮を庇うのことその十
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「一つ聞きたいけれど」
「はいです」
「そのオロチは宮中に潜んでいるのね」
「間違いなくです」
「そうね。ただオロチが何者かは知らないけれど」
それでもだとだ。曹操は目を鋭くさせてこう述べた。
「あれね。やっぱり張譲はいるわね」
「いるのです?」
「都で行われているあの過度な華美は」
そのことをだ。曹操は指摘して言うのだった。
「張譲のやり方ね。己の贅のみを求めるあのやり方はね」
「そうですよねえ。そのオロチは人間社会自体を破壊するのが目的ですし」
陸遜もそのことについて言う。
「それならです」
「ああ、オロチの奴等は人間社会の中に溶け込んでいてもな」
ここでまたオロチについて話す草薙だった。
「それでもな。人間社会の贅沢とかには興味がないんだよ」
「それならやっぱり」
「ああ、今都でやってるっていう贅沢とかはしない」
こう張勲にも答える。
「絶対にな。それはしないな」
「なら間違いないわね」
曹操はオロチのそうした習性も見て述べた。
「宦官もいるわね」
「宦官がそのオロチと結託して董卓さんの名前を借りている」
「それが問題ですね」
孔明と鳳統も述べる。
「なら。ここはです」
「董卓さんを宮廷から救い出しましょう」
そうするというのだった。
「そしてそのうえで」
「オロチ一族及び宦官達と戦うべきです」
「だよな。少なくとも董卓は敵じゃないんだよな」
馬超もそのことに言及する。
「じゃあ。まずは董卓の姫さんを助け出さないとな」
「しかしそれは難しいぞ」
厳顔は現実を指摘した。
「宮中の奥深くに幽閉されておるのなら。そうそう容易には」
「しかも張譲は狡猾で抜け目のない相手だから」
黄忠も眉を曇らせて述べる。
「宮中だけでなく都のあちこちにも息のかかった者を置いているわね」
「しかもそのオロチもいる」
魏延も言う。
「話は容易ではないか」
「ううん、何とか都に潜り込んで董卓さんをお救いすればお話は楽ですが」
「それでも。こうなると」
孔明と鳳統も顔を曇らせる。
「どうしたものでしょうか」
「まずは都に潜り込まないと」
こう言っているとだ。また天幕に来た者がいた。それは。
「待て、都に入るというならじゃ」
「あっ」
「その声は」
孔明と鳳統はその声に顔を向けた。
「まさか。ここにですか」
「来られたのですか」
「うむ、少し言われてな」
それでだ。来たというのだ。
「それでなのじゃが」
「その声は」
「聞き覚えがあるわね」
袁紹と曹操もその声を聞いて言う。その声の主は。
黒いフードにマントで身体を覆っている。その者がだ。今一同の前に姿を現したのであった。
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