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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
第八十一話 張飛、陳宮を庇うのことその七
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「ですがそれ以上にです」
「他にも宮廷で蠢いている勢力があるというのか?」
 周瑜が言った。
「だとすると誰だ、それは」
「オロチという者達とのことです」
「何っ!?」
 その名を耳にしてだった。
 たまたま天幕の外で警護をしていた草薙が中に飛び込んで来てだ。陳宮に問い返してきた。
「おい、今何て言った」
「ですから。オロチです」
「オロチ、そうか」
 草薙は陳宮の言葉をさらに聞いてだ。
 そのうえでだ。こう言うのだった。
「張三姉妹のところにバイスとマチュアがいた時点で怪しいとは思っていたがな」
「あの三姉妹のところにいた二人ね」
 曹操がすぐに述べた。
「あの二人も関係あるのね」
「あるどころかあの連中が一番問題なんだよ」
 草薙の言葉にはだ。危惧が露わになっていた。
「オロチ一族はな。この世界を破滅させるつもりなんだよ」
「そういえば以前」
 孔明がここではっとなった。
「草薙さんも神楽さんも言っておられましたね」
「そうだろ。あの連中は人間の文明そのものを否定しているんだ」
 それがオロチ一族の考えなのだった。
「自然そのものの存在っていうかな。人間の社会とかそういうのを破壊するんだ」
「つまりあれですね」
 今度は鳳統が話した。
「人間は自然を破壊する。だからその人間を」
「そういうことだ。確かに人間はそうだろうさ」
 自然を破壊するものだとだ。草薙はそれはわかっていた。
 しかしそれでもだとだ。彼は言い加えるのだった。
「それでもだ。人間も自然の一部だろ」
「ですね。この世界に存在するものが全て自然ですから」
「陰陽五行の中で」
 孔明と鳳統は草薙のその考えに述べた。
「その人間を否定するのもまた」
「間違っていますね」
「俺は難しい話は苦手だがな」
 それでもだとだ。草薙は言うのだった。
「それでもな。オロチの言うことにはいそうですかと聞けるか」
「聞いたらわらわ達は皆殺しではないか」
 袁術はまさに話の核心を衝いた。
「冗談ではないぞ」
「そうですよね。そうなってしまえば」
 張勲はあえて主を困らせにかかった。
「蜂蜜水は飲めませんよ」
「そ、それは困るのじゃ」
 袁術は狼狽して騒ぎだした。
「しかも凛と一緒にいられぬではないか」
「だから何でそこで凛が出て来るのよ」
 曹操は苦笑いでその袁術に突っ込みを入れた。
「全く。本当に好きなのね」
「そうじゃ。とにかくじゃ」
 そのことに居直りながらだ。袁術はまた言うのだった。
「わらわは滅びるなぞ嫌じゃ。絶対に嫌じゃ」
「誰だってそうさ」
 草薙は袁術のその言葉に対して言う。
「相当変な奴でもないとな。滅びたくはないさ」
「結論は出てるわね」
 孫策が腕を組んだうえで話した。

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