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戦国異伝供書
第七十九話 初陣その六

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「よいとのことなので」
「それでじゃな」
「若し鉄砲が買える様になれば」
 その時はというのだ。
「この鉄砲もです」
「買うべきじゃな」
「そう思いまする」
「うむ、鉄砲か」
「何でも上方そして九州の方では」
「持っておるか」
「三好家だけでなく薩摩の島津家も」
 この家もというのだ。
「かなり持っておるとか」
「あの家から鉄砲がはじまったのじゃな」
「種子島に南蛮の者が来て」
「それからであるな」
「あの家は鉄砲を多く持ち」
 そしてというのだ。
「その力で戦おうとしておるとか」
「そうか、それでは九州は」
「今は大友家が強いですが」
「どうなるかわからぬか」
「そうやも知れませぬ」
「大友家は九州探題じゃ」
 幕府から九州を監督する立場を与えられている、奥州探題や西国探題と並ぶ幕府の全国統治の要職であり格はかなりのものだ。
 元親は大友家がその立場にあることから話した。
「それだけに治める国の力もありな」
「そしてその豊後や豊前、筑前の力を以て」
「それで九州に覇を唱えておるが」
「その大友家にです」
「島津家は鉄砲を使うか、しかも」
 元親はさらに話した。
「あの家の軍勢は只でさえ強い」
「薩摩隼人ですな」
「あの強さは折り紙付きじゃ」
「甲斐の武田家や越後の上杉家の兵も強いですが」
「それ以上やも知れぬな」
「一騎当千の猛者達であり」 
 その薩摩隼人達はというのだ。
「しかも」
「さらにじゃな」
「死を恐れませぬ」
「そうした者達であるからな」
「鉄砲が聞く様な強さなら」
 その強さがあるならというのだ。
「まさにです」
「鬼に金棒じゃな」
「はい、ですから」
 それでというのだ。
「九州もです」
「わからぬか」
「そうやも知れませぬ」
「そうか、では当家も鉄砲を揃えられれば」
「揃えてですな」
「戦に使おう、土佐を統一すれば四十万石の力はある」
 それだけの豊かさがあるというのだ、土佐一国に。
「ならな」
「それならですな」
「その途中でも買えるなら買うが」
「それでもですな」
「おそらく土佐一国を手中に収めてからじゃ」
 それからだというのだ。
「鉄砲はな」
「多くをですな」
「揃えたい」
「そしてその力で」
「四国を統一して上洛じゃ、しかしわしは天下はな」
 それはというと。
「実は然程な」
「望んでおられませぬか」
「そこまでは考えられぬ」
 どうにもという言葉だった。
「どうもな」
「それは確かに。土佐は都からはです」 
 どうにもとだ、親貞も述べた。
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