中編
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、足場の悪いところでも歩ける四つ足ロボット、足の悪い人を補助する介助ロボット 等、人間形態のアイギスとは程遠い、奇抜な形のロボットが大半を占めています。
私はその一つ一つが面白くて、時間があるならいつまででも見ていたいくらいでした。
その中で、純粋に人間形態と言えるのはごく一部です。
目立ったのは、軽快なステップで歩いたり踊ったりできる『ATOM』。子供サイズで顔も可愛らしく、頭に2本の角のような突起があります。
他には、スリムな体形で、こちらは高速で走ったり、高く飛び跳ねたりできる『8ーMAN』。胸に大きく「8」の文字が入っています。
あと目を引いたのは、右半面はいかにもロボットらしい青い外装に覆われているにも拘わらず、左半面はカラーリングは赤く、ところどころが透明で内部構造が見えるようになっている、人体模型のような外観の『ジロー』。
そして最後に、銀色の近未来的な衣装を身に着けて、美少女の姿をしているのが『スピカ』です。
スピカは座ったままで歩くことはできません。しかし表情の変化は豊かで、手も複雑な身振りを再現しています。人間と会話することに特化したロボットなのです。
精巧すぎて、停止している状態ではむしろ不気味な感じがしますが、動き出すと驚くほど人間らしい表情ができます。
コンピューターそのものは体の外にあり、ケーブルで接続されていてリモートで動くようでした。
「スピカは、こちらの問いかけに対して対応する考え、回答をしてきます。また興味を持ったことについては質問してきたりもします。」
山村さんが説明してくれました。
「興味ですか。ロボットがどうやって興味を持つのです?」桐条先輩の問いに
「まあそれもプログラムの内です。言ってしまえば、組み込まれているデータの中から選択しているだけではあります。それでも自分が得た情報を元に関連する質問してきますので、かなり人間との会話を再現できていると思います。」と山村さんは説明しました。
「こちらがスピカの頭脳をほぼ独力で開発した和久田君です。」
山村さんに紹介されて、スピカのコンピューターを操作していた三十歳くらいの男性が会釈をしました。しかし笑顔は見せず、暗い目つきをしています。その表情に、私は少し不吉なものを感じました。
「山村さんは単純にそう言いますが、人間だって頭の中に記憶された物から選択して言葉を発しているわけです。ただ機械より前提条件が複雑なだけです。スピカは機械的な作業としてではなく、独自の思考に基づいて言葉を選択しているのですから、そういう意味では初歩的な人格が備わっていると言っていいレベルで会話の相手ができています。今後、さらにデータ量を増やしていけば、いつかは本当の人間と変わらない会話ができるようにだってなるはずです。」
和久田技師は、山村さんの説明が不満だったの
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