中編
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なるかもね。」
ゆかりちゃんもそう言って小さくうなずきました。
「グループが関与しているなら、夜、展示会が閉まった後にでも見せてもらうよう手配はできるだろうが・・・。しかし、おそらくアイギスが会いたがっているような代物ではないだろうな。それでも良いのだろうか。」
桐条先輩は悩ましげに言いました。
「展示会に出ているのは、ごく当たり前のロボット工学の産物だろう。アイギスのようなオカルティックなものが出てきたら、世界中がひっくり返る。そもそもアイギスの構造には製作者も解き明かせないブラックボックス的な部分が多数あって、そうそう世の中に出せるようなものではないからな。」
それから桐条先輩はアイギスに向かって声をかけました。
「ということだが、アイギス。正直、会話と言っても、お前が期待するようなレベルの物とは思えない。それでも行きたいか。」
「はい。」
アイギスは迷わず即答しました。
「現代のロボット工学の技術のレベルについては、検索して把握できています。それでも私と同種族というのであれば、会って確かめてみたいのであります。」
「そうか・・・。わかった。では、関係者に打診してみよう。立場上、私も同行する。君も来てくれるか?」
桐条先輩はリーダーである『彼』の方を見て訊きました。
「ええ、大丈夫です。」
『彼』が静かに答えます。
「あの・・・私もいっしょに行っていいですか?」
たまらず、私も声を上げました。
「私もこういうものに興味があるから・・・こんな機会めったにないし、見てみたいなって・・・」
あまり女の子らしくないかな、と思って少し顔が熱くなります。
それでも、アイギスがそのロボットと会ってどんな反応をするのか、それを確かめずにはいられません。
「ああ、構わないぞ。他にも行きたいものがいれば言ってくれ。」
桐条先輩が、みんなを見回します。
「ワン!」とコロちゃんが吼えました。。
「お前はだめだ。」
先輩の言葉にコロちゃんは悲しそうにクゥーンと声を上げました。
見学は展示会が終了した後の、夜遅くということになりました。
結局、これまでの行きがかり上、順平君も来るということになって、アイギスと他4名という一行となりました。
会場である国際展示場は巌戸台からはそれほど遠いわけではありませんが、桐条先輩がワゴン車を運転手付きで手配してくれたので、みんなでそれに同乗していきました。
会場の撤収作業は翌日となっていたため、私達は展示物をほぼそのままの状態で見ることができました。
「無理を言って申し訳ありません。」と頭を下げる桐条先輩に、案内担当である現場主任の山村技師はにこやかに応じてくれました。
会場にはさまざまなロボットが陳列されたままになっています。
災害現場で崩れたがれきの隙間を移動できるへび型ロボット
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