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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
揺籃編
第十三話 エル・ファシルの奇跡(中)
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准将の言う通りさ、俺達の立場、階級の人間が考える事じゃない、俺達はただ言われた通りにやればいい、でも、俺の横にはそれをちゃんと考えている奴がいる。俺達は下っ端さ、でも下の人間が一番大事な事を考えてる。だから、艦長だって分艦隊司令部に言ってくれたんだと思うぜ」

 違う、違うんだ。俺は知ってる事をひけらかしただけだ、自分の事しか考えていないのは俺なんだよ。まだこの世界を見ていたかっただけなんだ。俺は結末を知ってるんだよ…。
エル・ファシル警備艦隊をめちゃくちゃにしたのは俺なんだ…!
「なんか、うまく言えないけどな。まあ俺の中身の無い頭じゃ、これが精一杯だよ。とにかく準備しようぜ」



6月11日05:30 エル・ファシル星系、エル・ファシル、自由惑星同盟軍エル・ファシル基地、
警備艦隊地上作戦室 ヤン・ウェンリー

 「兵曹長、ヤマト・ウィンチェスターおよび兵曹長、オットー・バルクマン。避難計画協力を命ぜられ、ただいま着任しました。よろしくお願いします」
「私はヤン中尉だ。よく来てくれたね。見ての通り、艦隊司令部の要員は私だけで人手が足りないんだ。宜しく頼むよ」
「はい」

 彼がウィンチェスター曹長か。今回の避難計画も彼の発案だという。…一体、第2分艦隊はどうなっているんだ?パランティアの戦いも彼が発案し作戦立案にも関わっている。優秀なのは間違いない、私とはえらい違いだな。
「あの、荷物を置きたいのですが、どうすればよろしいですか」
「ああ、済まない。ロッカールームは通路一番奥を曲がって左のドアだ。早速だが、荷物を置いたら私の部屋に来てくれるかい?」
「分かりました」
オットー・バルクマン曹長。ウィンチェスター曹長の同期か。端正な顔立ちだったな、さぞモテる事だろう…彼もパランティアの戦いの作戦立案に関わっているな。同期だから手伝っただけなのか、手伝わされたのか…。能力がなければ同期であっても手伝わせるような事はしないだろう、彼も優秀なんだろうなあ…。

 「荷物を置いてまいりました」
「二人ともまあかけてくれ。急にあてがわれた部屋なんでね、椅子の座り心地が悪いのは勘弁してくれ」
「はい」
「早速なんだが、計画の発案は君達だろう?何故第2分艦隊で行わないんだ?警備艦隊司令部がやることじゃないと思うけどね」
「避難実行後の事を考えて、です」
「避難実行後?」
「はい。そもそも避難計画はあるのですか?」
「…ない。いや、無くはないが百年前の計画だ。当時とはエル・ファシルの人口も社会情勢も違う。役に立たない」
「でしょうね。でも幸運な事に今までエル・ファシルが占領されるような事態はなかった。だから新しい避難計画は必要なかった。でも今まで必要なかったから、無くてもいいとは限りませんよ」
「そうだね」
「星
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