揺籃編
第十三話 エル・ファシルの奇跡(中)
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、卿の艦隊の姿を見れば、更に勇気づけられるかもしれぬ。少し姿を見せるだけでよいのだ、ご足労かけるが、お願いできようか」
”かしこまりました。遠巻きに眺めておればよいのですな“
「そう、眺めているだけでよい。真に面倒な事だが、善処を期待する。以上だ」
宇宙暦788年6月11日04:00 エル・ファシル星系、エル・ファシル第2軌道上、
駆逐艦オーク34 ヤマト・ウィンチェスター
「おい、ヤマト、もう到着だぞ。駆逐艦って、飛ばすとめちゃくちゃ早いんだな、って……お前、大丈夫か?」
「オットー、俺は何をやっているんだろうな」
「…どうしたんだ、急に」
俺は何をやっているんだろう。
第2分艦隊は俺達を置いて行ってしまった。味方を助ける為に。
俺が調子こいて、”民間人の避難の必要性が”なんて言わなければこんな事にはならなかった。エル・ファシルの民間人はヤンがきちっと助けてくれるんだ、なぜ警備艦隊を救う事を考えなかった?
リンチだって捕虜にならずに済むのに、俺のやった事はただ原作知識を利用して、自分が死なない為だけに警備艦隊を見殺しにしただけだ。
パランティアで俺の意見は取り入れられた。今回も俺の意見が取り入れられた。多分次だって取り入れられるだろう。
…じゃあ何故やらなかった!
分艦隊司令部に、”警備艦隊司令部に撤退を意見具申してください”と何故言わなかった!言っても不審がられるだけ?その立場じゃない?人の命とどっちが大事だ、馬鹿野郎!!
「…おい!!」
「あ、ああ。大丈夫だ。…これからどうするんだっけ?」
「全然大丈夫じゃねえじゃねえかよ…ヤマト、お前パークス艦長と話した後からおかしいぞ?…シャトル乗り換えて、地上に降りて、基地の地上作戦室に行くんだろ?」
「そうだったな、そうだった。……オットー、何でこんな事になっちまったんだろうな」
「何でって…お前が言い出したからだろ。こう言っちゃなんだけどな、誰もエル・ファシルの事なんて気にしてなかった、俺の周りだってそうさ。…この行動はいつ終わるんだ、いつ戻れるんだろう。気にしていたのはそこだけさ。任務に精励していない訳じゃない、みんな本音はそんなもんだ、多分な。それをお前が強烈に、現実に引き戻したんだよ」
「現実?強烈に?」
「そうさ。俺たちが何の為に戦っているのか、ということだ。アウストラの食堂で、ドッジ准将と話したろ?その後お前を手伝いながら少し俺も考えたんだよ」
「何を考えた?」
「目の前の敵に勝つ事も大事だし、早く帰りたいのも本当だ。でも横には民間人の事を考えている奴がいる。勝つ事、自分の事ばかり考えていないか?確かに味方が勝てば結果的に国も民間人も守れるさ、でもそれだけでいいのか、って。負けた時の事なんて考えたことなかったからな。ドッジ
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