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提督「……辞めたい」
第一話 提督の決断
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……よネ?)

 『日誌』と達筆で書かれたタイトルのノートが置いてあった。

 「……」

 (……もしかしたらシークレットシートかもしれないネ)

 日誌と書かれているものの、極秘書類を隠すためのカモフラージュかもしれない。でなければ、態々隠し棚という隠し方はしないと金剛は思ったのだ。

 そこで、恐る恐る、金剛は頁を捲った。





 「──」

 その時、瞠目する。










○月△日 天気は曇り

 今日は曇りで、近くの泊地から嵐の恐れありという連絡を受けたので、大事を取って休みにした。朝礼では相変わらず嫌われているようだ。着任してから二ヶ月経つが未だに俺と艦娘達との関係の間に深い溝がある。どうにかしなければならない問題だが、皆はそれほどのことを前任されたのだろう。ここは俺が耐えなければならない時だ。

 皆に今日の活動は休みだということを知らせると、皿やコップなどが投げつけられた。どうやら皆は働きすぎると手当てを支払わなければならないので、態と手当てを減らすために短い間隔で休日を強要していると思っているらしい。

 短い間隔で休日を設けてるのは皆の体の疲弊を癒してもらうためと英気を養ってもらうためという意図があるのだが、皆は必要ないのだろうか。特に潜水艦達の疲弊は相当だと思うのだが。

 それは置いておこう。
 投げられた皿等が頭に当たり、少したんこぶが出来て朝礼は終了した。執務室で大和に心配されたが、これからこのようなことがエスカレートすると思うので今のうちにある程度の耐性は付けておかないと体が持たない。と返したら微妙な顔をされた。いつも心配をかけてすまない大和。

 そういえば金剛姉妹は紅茶好きとか大和に話されたことがあった。それもお茶会を開いて和気藹々としているのだそうだ。艦娘達との関係を進ませる為にも、これを利用する……というのは言い方が悪いが、良好な上下関係を成立させる為にも、この話を聞き流すことは出来ない。そう考えて、俺は先ず早々に執務を終わらせて金剛姉妹と仲良くなるために紅茶カップを買いに出掛けた。
 が、しかし。高級な紅茶カップを買ったら財布が随分と寂しくなってしまった。そういえば艦娘達の給料に俺の給料の三割くらい当ててた気がする。所得税もなんやかんやあるので、これは結構痛手だったが、金剛姉妹と仲良くなれるのなら問題ない出費だと思う。











 ──これは……

 「……なんデスカこれは。こんなのまるで……ウソっ」

 (しかもこの紅茶カップ……それに)

 「ウソデス! こんなの、絶対にアイツじゃない! ……違う! ワタシは……っ」

 

 






 ○月×日
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