第一話 提督の決断
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を以て体験したじゃねえか。そうだろう?
(……うるさい)
──お前がいくら手を差し伸べたって変わろうともせずに悲劇のヒロインぶってるクソアマ達を救う義理なんてあんのか?
(……黙れ)
──お前がこれまで頑張ってきても、結局何も過去から進展してねぇ。大和が言った通り、あいつらは弱いんだ。そんな奴等に、重要拠点である横須賀鎮守府を守らせるのか?
(……)
──もう諦めろ。横須賀鎮守府はここ一年間、ほぼお前だけの力で立て直してきたんだ。対して勝手に出撃して、勝手に遠征して、資材も勝手に減らし、報告書さえ出さずにお前と妖精さん達が苦労して直した入渠場で暢気に傷と汗を流してるような奴等だぞ?
(…………)
──あいつらを解体しろ。そうすればお前の功績も認められるようになって、昇進すr
(──黙れッ!)
これまで艦娘にされてきたことが一瞬のうちに、走馬灯のように流れた。
溜め込んできた怒りや哀しみ、妬み等で蝕んでいた心の闇がここに来て大きくなっている。
(俺は……あいつらを)
「……大和の言いたいことは分かった」
「……提督!」
やっと分かってくれた。そのような嬉々とした表情を浮かべたが、次の俺の言葉で、大和は又その顔を涼しくする。
「──だがダメだ。解体処分は受け入れられない」
そう。確かに解体をすれば、今の状態は解決するのかもしれない。
しかし、それが根本的な解決になるのかと言われれば違う。俺を無視し、俺へ暴力をしてきた彼女達の目はいつも、深い闇に濁っていた。死んでいるのだ。この世界に絶望し、何もかも捨てようとしている。しかも、前任という勝手なやつに良いようにされ、心も体も汚されたからというとても可哀想な理由で。
俺はそんな彼女達を。過去に絶望し、今を葛藤する狭間を行ったり来たりしている彼女達を見捨てることは出来ない。
正直、解体したら清々はするだろう。だがそれ止まりで、俺の勝手なエゴを解体という行動で示しているだけなのだ。
そんな行動をしてみろ。必ず未来の俺は、後悔するに決まっている。そもそも、彼女達がこうなってしまったのは大袈裟に言えば俺達人間側のせいだ。勝手に呼び出して、自分達のために戦わせて、挙げ句には非人道的な扱いをして、前任は居なくなりやっと自由を得たと思えば、後任である俺が着任し、又命令される。
そして、一年間という彼女達にとって見れば短い間、反抗的な態度を取っていただけなのに、命令違反その他諸々で解体される。
……そんなこと、幾らなんでも酷すぎではないだろうか。これまで、なんやかんや俺へ反抗していたが、横須賀の近海を守り続けてい
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