暁 〜小説投稿サイト〜
ペルソナ3 アイギス・だいありー
前編
[4/5]

[1] [9] 最後 最初 [2]次話

聞いていた天田さんが、眉をひそめて抗議するように声を上げました。
「ひどいですよ。僕が犬に近いなんて・・・」
「違いましたでしょうか?」
「僕は、小学生だし、帰ってくる時間が早いからコロマルといる時間が長いんですよ。だから他の人よりも少し余計にコロマルの考えてることがわかるだけです。いくら小さくても人間は人間で・・・犬に近くなんかないです。」
天田さんの(少し怒った感じの)説明をきいて、私はその内容を理解したであります。
「つまり心を理解するには、一緒にいる時間が長いことが必要なのでありますね。」
「時間だけじゃないです。僕はコロマルが好きで・・・わかりたいっていう気持ちがあるから・・・だからわかるようになるんです。」
「なるほどなー。」
どうやら私の推論は間違っていたようであります。しかし、心を理解するために重要なポイントを学習することができました。@長い時間行動を共にし A相手を理解する努力をする、ことが重要ということです。
これだけでも、本日の散歩には十分な成果があったと言えるであります。
「これだから、アイちゃんを自由に外出させられないんだよなー。」
話を聞いていた順平さんが、ため息をつきながら言いました。
確かにまだまだ適切な情報が不足しているようです。もう少し学習しないと、無用な混乱を招きかねません。
「まあ、いろいろ知る機会が増えれば、だんだんおかしなことを言わなくなるんじゃないですか。」
天田さんが少しゆがんだ笑顔を見せて答えたであります。以前、このような表情を「苦笑」と呼ぶのだということを学習しました。これは「心から笑えているわけではない」という複雑な心境を示すものとのことです。子供でありながらこのような高度な感情表現を使いこなすとは、天田さんもあなどれないであります。
人間の心は、なかなか奥が深いであります。

話をしながら歩いているうちに、コンビニエンスストアの前に通りかかりました。
順平さんと天田さんが、夕食を購入するために店内に入ったので、コロマルさんには外で待っていただくことにして、私も後について入ってみることにしました。
「犬を店内に入れないこと」、これもマナーのひとつであります。ロボットについては特に規定がないようなので、問題ないものと判断します。
店内には、限られたスペースを効率よく利用して食べ物や雑貨などが数多く置かれています。
私は順に回って並べられた商品を観察し、その品ぞろえから人間の需要について学習しました。
それから外に面したガラスに貼られた1枚のポスターに注目したであります。『ロボット博覧会』というイベントの告知ポスターでした。
そこには、さまざまな機械的デザインのロボットの写真が表示されており、その中央にはクローズアップされた『若い女性』に見える写真が載っていた
[1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ