前編
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アイギスであります。
正式名称は対シャドウ特別制圧兵装七式であります。
月光館学園 巌戸台分寮を拠点とする特別課外活動部に配備され、戦闘兵器としてシャドウ殲滅の任に就いているであります。
但し、平常時においては、特別課外活動部顧問の幾月さんより「人間の心を理解し、人間の心に近づくこと」という課題を与えられています。その為には、大勢の人間とコミュニケーションを取り、多様な状況下でのケーススタディから人間らしさを習得していくことが必要と考えられます。
しかし、私は一人で寮から出ることを禁じられており、自由に野外活動を行ことができません。
その理由としては、「人間に対する理解が浅く常識が欠けている為、人前で不自然な行動をとる危険性が高いから」とのことであります。「常識」とは社会生活を円滑を行う為の指標のひとつで、これを知らずに世の中に出ることは、交通ルールを知らずに車を走らせるに等しい行為と言えます。ゆえに、現状での「外出禁止」は理にかなった判断では有るのですが、「常識」を身に着ける為にはまた多くの人間とのコミュニケーションが必要であると考えられ・・・どうにもジレンマであります。
結果として現状では、日中の話し相手が主にコロマルさんだけ、ということになっています。これでは人間の心より、犬の心に近づくことにならないでしょうか。
状況打破のためにも、なんとか人間とのコミュニケーションを増やす機会が必要と思われます。
この寮で、私の次にコロマルさんとコミュニケーションを取れるのは天田さんであります。
推測ですが、これは天田さんが他の方より年齢の若い「子供」であることが関係していると思われます。人間は言葉を話せない四つ足の状態で生まれてきて、徐々に成長して人間らしくなっていくので、その過程においては人間より動物に近いのであります。つまり天田さんは人間より犬などの動物に近く、それ故に犬であるコロマルさんの心がよくわかるのではないでしょうか。
そんな考察をしていたところで、ちょうど天田さんが階段を下りて来ることに気がつきました。そういえば今日のコロマルさんの散歩当番は天田さんの番であります。
ここはひとつ、学習の為に、私も散歩に同行させてもらえるよう天田さんと交渉するであります。
「天田さん、コロマルさんの散歩でありますか?」
「あ、アイギスさん・・・。ええ、コロマルの散歩がてら買い物にでも行ってこようと思って・・・。」
私が話しかけると、天田さんは少し警戒気味に返事をされました。
私が人間の対応に不慣れなように、天田さんも人間ではないものとの対話に慣れていないと思われます。これは、いわゆる「お互い様」という現象であります。
「私もいっしょに連れて行っていただけないでしょうか?」
「えっ」
天田さんは驚いた声を上げて目を見開きました。そ
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