第八十一話 張飛、陳宮を庇うのことその二
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「世界の為にな」
「そうそう、順序よくね」
「一つずつ進めていきましょう」
「戦いは続くんだな」
華陀は目を鋭くさせて述べた。
「都で終わらせたいと思ったんだがな」
「残念だけれどそうはならないわ」
「本当にこれからなのよ」
それはしっかりと言う妖怪達だった。
「あたし達とダーリンの関係と同じよ」
「一つずつちゃんとしていかないとね」
「そうだな。それはな」
しかもだ。華陀は彼等の言葉に平然として応える。それを見てだ。
刀馬がだ。唸る様にして述べた。
「やはりこの男は」
「違いますね」
「ああ、違う」
まさにだ。そうだというのだ。
「器が大きい。そしてそれはだ」
「それは?」
「無限だ」
彼が否定してきているだ。それだというのだ。
「それは無限だ」
「零ではありませんか」
「そうだな。無限だな」
それだというのだ。
「あの男と同じか」
「蒼志狼殿と」
「俺は若しかするとだ」
次にはだ。己のことを話す刀馬だった。
「大きな過ちを犯していたのかもな」
「過ちをですか」
「考え違いか」
それではないかというのだ。
「俺は今まで絶対を求めていたな」
「はい」
命は常に彼の傍にいる。それならばだ。
すぐにだ。言えることだった。
「その通りです」
「それは零だった」
またそれだと言うのだった。
「しかし華陀には零はあるか」
「いえ、ありません」
命は再びすぐに刀馬に答えた。
「あるのはです」
「大器だな」
それだとだ。刀馬は述べる。
「無限の大器だな」
「何もかもを入れてしまう大器ですね」
「それが華陀だ。ならば俺もだ」
「刀馬様もまた」
「その大器の中に入る」
入るというのだ。
「いや、既に入っている」
「入っていますか」
「そしてあの男の言葉を思い出した」
「蒼志狼殿の」
「あの男は言っていたな」
どうかと話すのだった。
「俺の氷河が溶けたその時に俺の大河が動き出すと」
「その通りです」
それは命が聞いている言葉だ。まさにその通りだった。
「あの方はそう仰っていました」
「ならば今か」
刀馬は言った。
「今こそその時なのか」
「刀馬様が動かれる時だというのですね」
「そうなのかもな。俺はあの男に克つ」
克つ、ではなかった。
「何よりも俺自身にだ」
「では刀馬様」
「その俺と共に来てくれるのだな」
「そうさせてもらいます」
命もだ。微笑んで頷く。
「私はその為にいるのですから」
「そう言ってくれるか」
「是非共」
「その言葉確かに受け取った」
刀馬のその紅い目が光った。
「では共にだ」
「何処にも参りましょう」
こう話す彼等だった。そしてその彼等を見てだ。
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