暁 〜小説投稿サイト〜
オペラ座ゲーム
街で出会った仮面の男
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書いていたときの事を思い出す、確
か、ゲームでメールのやりとりをしていた時、彼女はフランス語を習っている
と言ってなかっただろうか、あの時は。
 正直、悩んでも仕方ないと思い歩き出した、その時、道の端で絵を描いてい
る人間を見つけた。
 景色を描いているのだろうか、パリは芸術の街というし、絵描きがいて
も不思議はないなあと思いつつ、周りを見る、街中と違って人通りが多くな
い、皆、足早に歩いているいるのは気のせいだろうか。
 どんな絵を描いているのか、ちょっと通りすがりに覗くだけなら構わない、
いや大丈夫だろうと思って近づいた。
 建物を描いている、もしかしてオペラ座では、多分、言葉が出てしまったの
だろう、カンバスに向かっていた相手は手を止めて触り返った相手を見て驚い
た、仮面をつけていたのだ、このとき、オペラ座の怪人を思い出した。
 ルルーの原作の怪人は顔全体を隠す仮面をつけていたが、顔の左半分を隠し
ている、まるで舞台や映画、ミュージカルの怪人のようだと思ってしまった。
 目が合い、慌てて頭を下げてしまった、ところが。

 「あっ」
 思わず叫んでしまった、持っていた紙袋からリンゴとオレンジが落ちた、い
や、正確には袋の底が破けたというのが正解だ。
 「ありがとうございます、サンキュー」
 日本語、英語、いや、相手がフランス人ならメルシィと言ったほうがいいの
か、とにかく頭を下げた。
 仮面の男が拾ってくれるのを手伝ってくれたからだ、そうだ、ついでだと思
い、ジュスティーナの書いた住所のメモを手渡した。
 道に迷って、ここへ行きたいのだと、手を振り、英語、いや、日本語だが、
困っているのだという自分の額に指をぐりぐりと当てて困っているという
ジェスチャーをした。
 「道に迷ったのか」
 男が初めて声を発した、えっ、今、この人、日本語を喋った、いや、自分の
耳が変になったのかと思い、はっとした、これはゲームとかでよくある、ご都
合主義な他国の言葉でも自分の耳には理解できるという展開ではないか。
 考えてみれば、ここに来て会話をした相手はジュスティーナだけど、あとサ
ロンでも何人かと話したけど彼女が最初から通訳、いや、説明してくれたか
ら、直
接、言葉を交わしたという感じではないのだ。

 家に着いた時は、ほっとした、いや、言葉が通じると分かって仮面の男に話
しかけてばかりだった、女のお喋りは世間的にみてあまり良くないという印象
があるが、この時は、そんなことを考えなかった、いや、気づかなかった。
多分、話す相手がジュスティーナ、彼女しかいなかったせいもあると思うの
だ、お礼にお茶でも出して、いや、それは初対面の相手に図々しいというかも
そうだ暇な女が男遊びの相手を探している
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