2nd season
16th night
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R4A]のステッカー。R4Aによって手掛けられた、新たなデモカーである。
「こっ……こんなの俺達走らせられませんよ!」
「絶対手に負えないです……」
ポルシェ911。最高の量産スポーツカーの称号を欲しいままにする、世界屈指のマシン。原動機が後輪車軸の上に載せられたリアエンジンレイアウトは、911のアイデンティティであると共に極めてトリッキーな挙動を纏う。原型機より連綿と受け継がれたデザイン、機構、そして何よりドイツ人の為せる情熱が、この車を最高の1台にしている。
「ん?心配するな。手に負えるようにみっちり教えてやるから」
「ヒェッ……」
圧倒的な存在感を放つ重戦闘機を前にして怯える2人。しかし柴崎が笑みを浮かべてあっけらかんと言い放つと、追い打ちをかけるように厚手の本を彼らに投げ渡す。
「こいつがマニュアルだ。まずは簡単に座学といこうか」
「は、はい……」
「よろしくお願いします……」
同日、日が昇って来た頃の都内某所のとある老舗の喫茶店。ビジネス用なのか、しっかり仕立てられた青いスーツ姿の青年が窓際のテーブル席で、腕時計をチラチラ見ながらコーヒーを流し込み、スマホと格闘している。
「……ヤレヤレ、相も変わらず時間にルーズな旦那さんなこって」
時の流れは早く、「流離いの天使」が撃墜されてから早くも3ヶ月近くになる。「Fine Racing」が事実上解散となり、行き場をなくしていた若いボーイズレーサー達は、降りたものもいれば降りきれず燻りながらも残っている者たち、知ったことかと変わらぬ熱で戦い続ける者たちと様々だ。彼らの中でも上昇志向の特に強い走り屋達の目標は、今や「雷光の疾風」である広瀬へと移っていくのは自然な流れといえよう。
「しかしまぁ、それはあの連中もか。いつでもかかってきやがれなんでヌカしやがる癖に、どこをふらついてやがるのやら……」
他の新進気鋭で有名どころと言えば、首都高速の各エリアで暴れまわっている黒のNSX−Rに乗る「グレーラビット」、C1限定で名前を挙げてきたエリーゼの青年やインテRの青年などもいるし、それらを差し置いて伝説と謳われる「気紛れな旅人」も降りたという話は聞かない。だが彼らと比べても明確な知名度と実力がわかりやすく、なおかつ出現頻度とのバランスもとれているのが彼だからこそだろう。
「……まぁ、今日は夜まで何も入れてないからいいんだけどサ」
この喫茶店で待ちぼうけを食らっており、足を組み替えつつマスターにおかわりを頼んでいるのが、噂の渦中にいる「雷光の疾風」と呼ばれる広瀬、その人である。今日は彼の本業の打ち合わせであり、売る側のオーナーとの話し合いだとか。
数時間後の柴崎達。パドックに停められたRとポルシェの横で、2
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