艦娘とスイーツと提督と・42
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いだろ」
というか羽黒、お前実は匂いフェチか?
「ん?羽黒、お前もいい匂いするなぁ。シャンプー……いや、香水か?」
密着しているせいか、羽黒からもふわりと香りが香ってくる。
「は、はい。潮風に当たってるとちょっと気になっちゃって。毎晩寝る時に付けるんです。そうすると、朝起きた時には残り香位で匂いもキツくないので」
「へぇ……でも、嗅いだ事ある匂いだな。甘い花みたいな…でも、飲み物の匂いでこんなのが……」
「ジャ、ジャスミンの香りの香水を付けてるので……って、あんまり嗅がないでください!」
何の匂いか当てようと、嗅いでいたら顔を更に真っ赤にした羽黒に突き飛ばされた。自分からすり寄ってきたクセに、解せぬ。
「もう、恥ずかしいんですから!」
「いや、人の匂いを嗅ぎ始めたのは羽黒が先だろ?」
「そ、そうですけどっ!恥ずかしいものは恥ずかしいんです!」
「もう、知りませんっ!」
拗ねてしまった羽黒は、テーブルの上にあったケーキを切り分けてパクパクと食べている。自棄食いという奴だろうか、食べ進めるスピードが早い。
「おい羽黒、少し落ち着けって。な?」
「知りませんっ!」
「だから、お前そのケーキは……」
「はれ……?何だか、きゅうにめまいがーー」
羽黒の呂律が回らなくなり、フラフラしたかと思ったらケーキの取り皿を落としそうになる。寸での所で俺がキャッチしたが、ギリギリセーフってトコだな。
「だから言ったろ?このケーキ、お前には少し酒がキツすぎたって」
ケーキを焼く時にも生地にブランデーを練り込んだが、焼き上がった後にもブランデーを振り掛けて染み込ませてある。お陰でケーキはしっとりとしていたが、下戸の羽黒にゃキツかった。というか自分でキツいって言ってたハズなんだがな。
「さぁて、どうすっかねコレ……」
羽黒はすぅすぅと寝息を立てていて、ちょっとやそっとじゃ起きそうもない。その上両腕はしっかりと俺の首に抱き着くような形になっている。簡単には引き剥がせそうも無い。
「仕形ねぇか。よ……っと」
俺は羽黒をお姫様だっこの形に抱き抱えて、羽黒の部屋まで送ってやる事にした。
「おっと、忘れ物忘れ物……」
途中、俺の執務机に寄って引き出しの中にしまってあった黒い小箱を羽黒の上着ポケットにそっとしまう。実は昨日、羽黒の錬度が99になってたんだよな……本当はケーキ食べてる最中に渡そうと思ったんだが、悪い事しちまったな。
「お休み眠り姫、良い夢を」
翌日、起きてポケットに入っていた物に気付いた羽黒が号泣し、勘違いして怒った妙高達3人の姉達に俺が襲撃されたのはまた別の話。
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