暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第22話:雪の温かさが彼を繋ぎ止める
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なくとも名を呼んでくれた。
 その事が堪らなく嬉しくて、心に広がっていた暗鬱とした思いが晴れたような気分になり、クリスは透に抱き着いた。

「────!! 透ッ!!」

 涙を流しながら、加減もせず抱き着くクリスを透はしっかりと受け止めた。
 両目から止め処なく涙を流し嗚咽を溢すクリスを、透は優しく抱き留めその頭をそっと撫でてやった。

 そのまま暫く歓喜の涙を流し続け、漸く落ち着いたクリスは透がパンツ一丁で他に着る物がない事に気付くと屋敷の中から適当なバスローブを持ってきて着せてやった。

 あの濡れてボロボロになった服を着せる訳にはいかないし、だからと言って何時までも裸で居させる訳にもいかない。

 先程は色々あって気にしている余裕がなかったが、落ち着いて今になって見てみると細身ながらも意外なほど鍛えられた彼の体に赤面せずにはいられなかった。
 こんな性格だが、クリスだって立派な乙女である。見慣れない男の、それも心の拠り所とするほどに親しい少年の逞しい素肌を前にしては冷静でいられる自信が無かったのだ。

 一度立ち上がってバスローブを着てから、再びベッドに腰掛ける透。その隣に腰掛けたクリスは、今が頃合いかと透にこれまでの経緯を訊ねた。

「それで、透? 今まで一体何やってたんだよ? て言うか、あの後どうしたんだ?」

 クリスの問い掛けに、透は少し考え込む素振りを見せる。何と答えたらいいか、どこまで答えたらいいかを迷っているらしかった。

 が、少し考えただけで意を決したのか部屋の中を見渡して何かを探すと、部屋の隅に放置された先程まで彼が着ていたボロボロの服を見てそちらに向かい、適当に放置された服の中から何かを取り出した。

 掌のような形をした変わったバックルのベルトと、いくつかの妙に装飾部分が大きな指輪だ。

 彼が取り出した奇妙な組み合わせにクリスが首を傾げていると、彼は腰にベルトを巻き指輪の一つを右手の中指に嵌めた。
 そしてそのままクリスの隣に再び腰掛けると、今度は右手を掌型のバックルの前に翳した。

〈コネクト、ナーウ〉
「な、何だ? って、おぉうっ!?」

 ベルトから響く声に困惑するクリスだが、次の瞬間目にした光景に言葉を失った。

 透が手を翳すとそこに魔法陣が現れ、彼がそれに手を突っ込むと少し離れた所にあるサイドテーブルの近くに同じ魔法陣が出来てそこから透の手が出てきたのだ。
 彼はそのままサイドテーブルの上に置かれたメモ帳とペンを掴むと、魔法陣から手を引き抜き手元に持ってきた。

 その光景にクリスは驚愕のあまり言葉を失い口をパクパクとさせていると、透は彼女の様子に小さく笑みを浮かべつつメモ帳の紙面にペンを走らせた。
 筆談だ。言葉を声で伝えることが出来ない以
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