暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第22話:雪の温かさが彼を繋ぎ止める
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透は最初困惑したがそれ以上に彼が感じたのは安堵だった。
彼には分かったのだ、この少女が1年間離れ離れになっていたクリスであることが。そのクリスとこうして再会できた。その事を彼は純粋に喜んでいた。
今がどういう状況かなどは関係ない。彼は懐かしい少女との再会を喜び、その体をそっと抱きしめた。
すると、彼が動いたことで覚醒したのかクリスも目を覚ました。
「ん、んぅ……寝ちまったのか…………って、えっ!?」
いつの間にか眠ってしまっていたクリスだが、不意に自分が抱きしめられている事に気付き目を見開き彼の顔を見た。
そこには、優しく笑みを浮かべている透の顔があった。
「────透ッ!!」
堪らず歓喜の声を上げ起き上がるクリス。
だが次の瞬間、透は顔を真っ赤にして飛び起き彼女に背を向けた。
一瞬その事に首を傾げるクリスだったが、直ぐに今の自分たちの恰好を思い出し今度は彼女の方が顔を耳まで赤く染めた。
「わっ!? わわっ!? 見るな、あっち向いてろッ!!?」
もうすでに後ろを向いているのだが、そんな事を気にしている余裕もなくクリスは彼から離れるとクローゼットを開け乾いている服を取り出し着替えた。
その間透は耳まで赤くした状態で彼女に背を向けている。そして数分ほどで着替え終わると、まだ少し頬を赤く染めながらも透の元へと近付いた。
「えっと…………もう、いいぞ?」
とりあえず依然として背を向けたままの透にクリスが声を掛けると、透も頬を赤く染めた状態でクリスの方に再び体を向けた。
互いに正面で向き合い、相手の顔をまじまじと見て互いに相手が記憶の中にある人物と同じであることを再認識する。
その認識を確実なものとする為、クリスは透に彼自身の名と己の名を訊ねた。
「と、透……だよな? あたしの事、覚えてるよな?」
クリスの問い掛けに頷き口を開く透だったが、その口から言葉どころか声が出る事はなく、呼気が出る掠れた音だけが零れた。
その様子にクリスは、1年前彼の身に襲い掛かった不幸を思い出し驚愕と悲しみが混ざった目を彼に向けた。
そう、彼は命が助かっただけで夢は無残に切り裂かれたままだったのだ。
それでも透は何度も声を出そうとした。両手で喉を押さえ、必死に喉を振るわせようとしたが結局声は出ず。
彼の声と夢が失われたと言う現実を嫌でも認識させられた。
「透……やっぱり、声──」
もう二度と彼の声も、歌も聞くことが出来ないと分かり悲しみに暮れるクリス。
そんな彼女の肩に、透は手を置き正面から彼女の顔を見つめるとその口をゆっくりと動かした。
ク……リ……ス、と────
彼の方もクリスの事を覚えていた。声は
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