暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第22話:雪の温かさが彼を繋ぎ止める
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がせタオルで体を拭いてやった。
 服を着た状態でも分かっていたことだが、透はかなりボロボロだった。それも古い傷ばかりではない。真新しい生傷まである。

 ここに来るまでに一体何があったのか? そもそもあの後一体何をしていたのか? 気になる事は多いが今は全て後だ。

 パンツ以外全ての衣服を脱がせ、体を隅々まで拭いてやるとクリスは透をベッドに寝かせる。毛布を被せ、彼の体温が上がるのを待った。

 だがいくら待っても一向に彼の容体は快方に向かわない。苦しそうに呼吸をし、体を震わせている。
 もう体が自力で熱を生み出すほどの体力もないのだ。これでは体を乾かして毛布を掛けてやっても意味がない。

 どうすればいいか? 悩みに悩むクリス。その間にも透は顔を苦しげに歪めながら体を震わせている。

 そんな時、クリスの脳裏に名案が浮かんだ。彼の体が熱を生み出せないのなら、他所から分けてやればいい。
 ではその熱は何処にあるか? 今からお湯を沸かしていては時間がかかるし、この部屋には暖炉の様な物はない。暖房は既に入れているが、これでは不十分だ。

 唯一ある物と言えば────

「それは、でも…………いや、四の五の言っていられねぇ!」

 意を決し、クリスは雨で濡れた自身の衣服を脱ぎ去る。彼同様下の肌着のみの姿となると、羞恥に頬を赤らめながらも彼を寝かせたベッドの毛布に潜り込み彼の体に抱き着いた。

 瞬間、人間の体とは思えない彼の体の冷たさにクリスは彼に迫る死の気配を感じ取り恐怖した。
 そして彼の体に回した腕に力を籠めると、全身を密着させ自身の体温で以って彼の冷え切った体を温めた。

 冷え切った体に抱き着きながら、クリスはひたすらに祈りを捧げていた。

――お願いだ、逝かないでくれ透! もうあたしを……1人にしないでくれッ!!――











 不意に透は、自身の体を包む温かさを感じた。

 それを感じて最初に思った事は、遂に自分は死んでしまったのかと言う事だった。

 人気の無い森の中で傷付き倒れ、雨に打たれた体では数時間しか持つまい。

 唯一彼にとって救いだったのは、意識を手放す直前に愛しい少女によく似た顔を見られた事だった。恐らく死の直前に見た幻影だろうと、最期に目にした顔が彼女の物であれば心安らかに逝くことが出来る。

 そう思っていたのだが、次第に彼は違和感を覚え始めた。死んだにしては妙に感覚がはっきりしてきている。

 何かがおかしい、そう考えた彼は試しに瞼をゆっくりと開けてみた。

「…………ッ!」

 開いた彼の目に真っ先に映ったのは、意識を手放す直前に見た少女の寝顔だった。

 懐かしい少女──クリスの顔が、それも至近距離にある事に
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