暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第22話:雪の温かさが彼を繋ぎ止める
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自分の歌は周りを傷付ける。そう考えるようになったクリスは自己嫌悪し、次第に歌その物を嫌う様になっていったのだ。
そうしなければ、透に対して申し訳が立たないと思っていたのである。
そんな風に1人歌と自分に対する嫌悪で暗鬱とした日々を送っていたクリスだったが、ある日彼女の心境に変化が起きる時が来た。
それは今から1年前の、ある雨の日の事だった。
――
――――
――――――
その日、クリスはフィーネの拠点である湖畔の屋敷周辺の森を散策していた。
この日はフィーネが屋敷に居らず、それでいてやることも特になかった為暇を持て余したクリスは気晴らしに屋敷周辺をぶらぶらと散策していたのだ。
ところがこの日は生憎と雨が降っており、気が晴れる処か逆にフラストレーションが溜まっていた。
雨が降る森と言うのも風情があると言えばあるのだろうが、今のクリスにとってはただひたすらに忌まわしいだけだ。
「…………チッ! 帰るか」
差した傘や周囲の木に当たった雨粒が立てる静かな音に包まれながら森の中を歩く。
途中木の根に足を取られたりしないよう気を付けながら歩き、時折近くの茂みの中で何か野生の小動物が逃げていく音に耳を傾けていた。
その時────
「うん? あれは…………?」
視界の端に森の中において違和感のある物が映った。
最初それが何なのかクリスはイマイチ理解できなかったが、ある程度近付いてそれが何なのか分かった。
足だ。人の足、それが地面に横たわっていた。
それを見た瞬間、クリスは盛大に顔を顰めた。
こんなところで行き倒れである。絶対普通ではない。ここは確かに人里離れた森の中であるが、富士の樹海の様に自殺の名所となっている訳ではない。
つまり、自殺しに来たと言うよりは何か事情があってここで力尽きたと考える方が普通だった。
正直、関わり合いになりたくない。面倒になりそうな気がする。
だが同時にこんなところで1人寂しく野垂れ死に掛けている者に対して憐れみを抱いている自分にも気付いていた。
自然、クリスの足は倒れている人物に近付いていく。既に息絶えていたらともかく、もしまだ息があったのならせめて手当くらいはして人里に送り返してやろうくらいは思っていた。
ここで見捨てるのも後味が悪いし、何よりここで他人を見捨てるようではあの日最期まで自分を気遣っていた透に顔向けできない。
そんな想いと共に木の根元に見える足に近付き、根元に倒れこんでいるらしき相手を覗き見て──────瞬間、クリスの周囲から音が消えた。
「──────え?」
目にした姿に強い既視感を感じた。
何処か見覚えのある目を瞑った横顔、服装は記憶
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