第十四話「列強の落日2」
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第十四話「列強の落日2」
「72ヶ国連合?」
「はい、パーパルディア皇国の属領が一斉蜂起して出来た連合の様です」
アイルサン・ヒドゥラーは執務室にて現地からの報告を受けていた。内容はパーパルディア皇国上陸から数日後に起きた属領の一斉蜂起である。パーパルディア皇国はエストシラント大空襲で主要な人物をほぼ失っており指揮系統が麻痺していた。そこへ来て神聖オーストリア・ハンガリー帝国によるデュロ砲撃と上陸、占領で継戦能力はほぼ喪失した。アルゼンチン帝国と神聖オーストリア・ハンガリー帝国は戦車師団を使い適量深くに浸透しパーパルディア皇国の残った戦力を叩き潰していた。アルゼンチン帝国に至っては中央部まで進出する程だ。
「それで、72ヶ国連合はどれ程の戦力を保有しているのだ?」
「平時のパーパルディア皇国に絶対に勝てず、今のパーパルディア皇国に何とか勝てるだろうというレベルです」
「……低いな」
アイルサン・ヒドゥラーは72ヶ国連合に意義を見出せなかった。アルゼンチン帝国の基本方針は帝国主義に近い。たくさんの植民地を作ろうとしている。今回のパーパルディア皇国への宣戦布告も領土拡大の為だ。
「……72ヶ国連合をパーパルディア皇国の独立した軍隊、と解釈して諸共併合するか」
「それがいいかもしれません。領土拡大をしないならともかく我々にとっては害悪です」
「現地部隊に報告して置け。無論神聖オーストリア・ハンガリー帝国にもな」
「かしこまりました」
「それとフェン王国の方はどうなっている?」
「エストシラントへの空爆と同時に全土空爆を行いました。防御能力が低いかの国です。王城以外は更地となりましたよ。現在は併合する為に3個師団が上陸しています」
「よろしい」
そこへ扉がノックされる。アイルサン・ヒドゥラーが「入れ」と言うとコーヒーを入れたカップをトレイに乗せた一人の女性が入って来た。女性はアイルサン・ヒドゥラーを見ると勝気な笑みを浮かべる。
「よお!コーヒー持って来たぞ。休憩にしようぜ」
「そうだな。少し休憩するか」
女性、エミリア・スーレットの言葉にアイルサン・ヒドゥラーは肯定する。報告書を持ってきた高官は空気を読んでか「ではこれで失礼します」といい執務室を後にした。
エミリア・スーレットはアイルサン・ヒドゥラーの妻である。元はアイルサン・ヒドゥラーが党首を務める帝国白銀党の党員であり秘密の多いアイルサン・ヒドゥラーが入党した時の様子を知る唯一の女性であった(当時の党員は既にこの世にいない)。
結婚後も帝国白銀党の党員兼秘書として活躍していた。因みに彼女は31になるが見た目は一回り若く見える美貌を持っている。
アミリアは執務室のデスクに座りアイルサン・ヒドゥラーにカップを渡しながら言う。
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