第八十話 陳宮、決意するのことその七
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「中々美味そうだ」
「おい、何でそういう話に持って行くんだよ」
「何度も言うが私はおなごも好きだ」
「じゃあひょっとしてあたしを」
「どうだ?本当に」
淫靡な笑みで馬超を見ながら言うのだった。
「愛紗も入れて三人でだ」
「またここで私が話に出るのだな」
いささか呆れた顔で言う関羽だった。
「星の胸へのこだわりは異常だな」
「心も見ているぞ」
「心も?」
「そうだ。二人のその心もだ」
見ているというのである。
「実にいい」
「いいか?」
「そうなのだろうか」
「素直で純情だ」
そのことは馬超も関羽も同じだった。
「そうした娘を味わうことこそいいのだ」
「そうそう、翠姉様って実はかなり女の子な性格なのよね」
馬岱も出て来て言う。
「愛紗さんもそうだけれど」
「女の子なのだ?」
「そう、女の子なのよ」
こうだ。馬岱は張飛にも話す。
「だから結構弄りがいがあるのよ」
「左様だ。翠も愛紗も弄ってこそだ」
また妖しい笑みを見せて語る趙雲だった。
「もっとも。夜に弄りたいのが本音だが」
「結局そこに話をやるか」
「いつも通りの流れにするのか」
「夜なのだ?」
張飛はわからない顔で首を傾げる。
「どうして夜がいいのだ?」
「ええと。どうしてなのかな」
馬岱もわからないといった顔である。
「夜に何かあるのかしら」
「全然わからないのだ」
「まあ二人もそのうちわかる」
趙雲はこの二人には食指を動かさなかった。そのうえでの言葉だった。
「それではだ」
「それでは?」
「それではというと?」
「今から食事だ」
それをするというのだ。
「メンマを食するとしよう」
「ああ、あのメンマ丼か」
「それを食べるのだな」
「そうだ。あれを食べる」
今度は楽しげな微笑で言う趙雲だった。
「若しくはメンマサンドだ」
「どっちにしてもメンマなんだな」
「本当に好きだな」
「メンマは全てだ」
こうまで言い切る趙雲だった。
「だからこそだ」
「それでか」
「あそこまで食するのか」
「その通りだ。メンマはいいものだ」
趙雲はまた言う。
「さて、ではメンマ丼としよう」
「好きだな、本当に」
「そうだな」
馬超も関羽もいささか呆れる程だった。
そうした話をしながらだ。彼女達は食事を摂る。そしてその頃。
関に一人の男が来た。それは山崎だった。
彼は陳宮と会ってだ。思わぬことを言った。
「同じ匂いがしたぜ」
「同じ匂い?」
陳宮は彼のその言葉ニまずは首を捻った。
「何なのです、それは」
「ああ、俺と同じ匂いって意味だよ」
そうした意味での言葉だというのだ。
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