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提督はBarにいる。
棄てられた少女の歩む先は・2
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続き、身体が次第に強張っていく。張り詰めすぎず、かといって弛みすぎず。ベストのパフォーマンスの出せる平常心ってのぁそういうモンだ。



「わかった、そういう事なら俺が責任を持って配属先を世話してやる。それまではお前さんはウチの客分だ、休むなり他の連中に混じって鍛えるなり、好きにするといいや」

「ありがとう……それは?」

 矢矧が俺の小脇に抱えていた物に気付く。

「あぁ、これか?お前さんにプレゼントしようと思って持ってきてたんだった」

 それは1部の新聞。神奈川県周辺の地方紙だった。

「これが私へのプレゼント?随分とショボくない?」

「中の記事読んでみな。3面だ」

 そこには小さく、猿島に置かれた警備府の提督が事故死した事が淡々と書かれていた。飲酒運転で事故ったらしく、車が炎上して遺体も跡形もなく燃えてしまったらしい。

「これってーー!」

「ま、因果応報って奴さ。悪い事してるとお天道様が見ててバチが当たるって、よく言うだろ?」

 煙草を咥えてニヤリと笑う。

「無理に忘れろとは言わねぇさ。ただ、お前さんが信頼を寄せて信頼を裏切られた最愛にして最悪の男は消えた……生まれ変わったと思って、心機一転頑張れや」

「ありがとう……提督ってヒーローみたいね?」

「…………いいや」

 俺は立ち上がり、医務室を出る。

「俺はお前の基準から言えば………とんでもねぇ悪党さ」

 ドアが閉まる寸前、聞こえるか否かと言うタイミングでそう告げた。





「はぁ……楽じゃないねぇどうにも」

「お疲れ様ですねぇ司令!」

「青葉か。目敏いなぁ相変わらず」

「ふふふ、特ダネの在るところ青葉在り!ですよ」

「いい加減にしろこのパパラッチ」

「それにしても……良いんですか?」

「何が?」

「矢矧さんに真実を伝えなくても」

「バ〜カ、いいんだよ。立ち直ろうとしてるタイミングでまた世界のどす黒い部分を知って心にトドメ刺したらどうすんだ」

 そう。世の中には知らなくていい事ってのが少なからずある。例えば、猿島の警備府の提督の本当死因は事故死じゃなくて寝込みを襲われて斬殺されたとか、その実行犯である元艦娘のどっかのおっかねぇ人妻が怒りのあまりにミンチにしちまったとか、それを隠す為に車をわざと事故らせて燃やしたとか、飲酒運転を演出するためによく通ってた酒場の店員やその夜の客に金を握らせて飲んでいたって嘘の証言をさせたとか、捜査に当たった刑事が『たまたま』俺の知り合いだったとか。そんな事は矢矧に伝える必要がない、知らない方が幸せな事だ。

「いいか?物事には過程があって、結果がある。俺は結果重視なのさ、そこに行き着くまでの過程がどうあれ
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