第百四十四話 リスボン掌握その二
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「先にね」
「一般市民を攻撃して」
「それでね」
そのうえでというのだ。
「将来の敵の戦闘力を潰しておくんだね」
「そうしたやり方があるんだね」
「ああ、ただな」
「そのやり方はね」
「俺は絶対にしないからな」
久志は断言した。
「何があっても」
「僕もだよ、若し君がそんなことをするって言ったら」
「その時はだよな」
「本気で斬るから」
剛はこの時は真顔だった、いつもの優しい微笑みを消してそのうえで目までそうさせて久志に告げた。
「容赦なくね」
「ああ、そうしろ」
その時はとだ、久志も言葉を返した。
「俺だってな」
「そんなことは言わないからだね」
「何があってもな」
それこそというのだ。
「だから言うさ」
「そうなんだね」
「何度も言うけれど俺の考えだとな」
「今は敵でもだね」
「先は違うだろ」
「僕達の国の領民になるね」
「そうだよ、あと例えずっと敵でもな」
そうした相手でもとだ、久志は自分の考えをさらに話した。
「武器を持たない人は攻撃する気になれないぜ」
「絶対に、だよね」
「戦ってのは武器を持つ奴同士がするものでな」
それでというのだ。
「武器を持たない奴は関係ないんだよ」
「騎士道の考えでござるな」
「ああ、それだよ」
まさにとだ、久志は進太にも答えた。
「言うならな」
「それになるでござるな」
「ああ、それとな」
「それと?」
「俺は騎士じゃないぜ」
笑ってだ、久志は進太に答えた。
「ご先祖様は何でも代々百姓だったらしいけれどな」
「それでもでござるか」
「やっぱり日本人だからな」
それ故にというのだ。
「武士道だろ」
「そちらでござるか」
「武士にしてもな」
その彼等もというのだ。
「そんなことしないだろ」
「武器を持っていない者は攻撃しないでござるな」
「明治の軍人、乃木大将もそうだろ」
明治の軍人で最も軍人の美徳を備えていたという彼もというのだ。
「あの人が武器を持たない人に銃を向けるか」
「拙者の知っている限りでござる」
進太はすぐに答えた。
「そうした話はないでござる」
「そうだろ、織田信長さんだってな」
「多くの一向宗の門徒を殺したと言われているでござるが」
「それは実はな」
「相手も武器を持っていたでござる」
「それで生きるか死ぬかのな」
「戦だったでござる」
実際に信長は一向宗との戦で多くの家臣も兵も失っている、実の弟も彼等との戦の中で敗れ腹を切っている程だ。
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