棄てられた少女の歩む先は
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周辺で深手を負って浮いていた。これで何もないなんて考えられる奴ぁよっぽど脳内がお花畑だぜ。
「そ、それは……」
矢矧は言い澱む。果たしてこの喉の辺りまで上がってきている『モノ』を、洗いざらいぶちまけてしまって良いのだろうか?と。
「なぁ、当ててやろうか?」
そう口に出したのは、矢矧の前に座って嗤う壮年の男。ブルネイ第一鎮守府に住まう『怪物』、金城零ニ提督だった。
「お前さん、恐らくだがその警備府で長いこと秘書艦やってたんだろ?」
「な、何故それを……!?」
「長い事こんな阿漕な商売やってるとな。見えてくるんだよ、色々とな」
警備府ってのはその在り方の性質上激戦区と呼ばれる海域にある物でない限り、艦娘の錬度は高くならない。その殆どが水雷戦隊か潜水艦相手になるからだ。そんな内地の警備府で錬度が80を越えているとするならば、まず間違いなく一線級の戦力……恐らくは艦隊旗艦レベル。そうなると人員の少ない小規模鎮守府では秘書艦も兼任というのが大概だ。
「そこでお前さん、何かしら提督の不正……まぁ脱税か収賄ってトコかな?その辺りの証拠を掴むないし不可抗力で見てしまった」
明らかに顔が青ざめる矢矧。ビンゴだな。
「そんでもって、アンタは恐らく提督にその証拠を突き付けて問い詰めた……そうだろ?」
ギリ、と歯軋りを立てて顔を歪める矢矧。元になったマスターシップの影響なのか、元々武人気質な所があるのか、矢矧は正義感の強い娘が多い。その上この矢矧はその警備府では秘書艦兼(恐らくだが)最高錬度の艦娘だ。艦娘達を率いる実質No.2として任務に励んでいたであろう誇りを鑑みるに、まず間違いなく提督を追求しただろう。
「ところが提督は反省の色を見せるどころか、開き直ったんじゃねぇか?『俺は国防の要を担っている提督だぞ、金くらい貰って何が悪い』とでもな」
「……めて…………」
「それでお前さんは南西方面への単独出撃命令でも受けたのかな?鎮守府にいる艦娘を人質にでも取られて。恐らくだが、脚部の艤装に爆弾でも仕掛けてあったんだろうな。潜水艦の魚雷喰らっても、あそこまで綺麗に脚は吹っ飛ばないからなぁ?」
「やめて………!」
「お前さん、誰にも相談せずに提督問い詰めたんだろ?そうなりゃ話は簡単だ、何しろお前さん1人亡き者に出来れば提督の安全は守られるんだからなぁ?」
「もうやめて!聞きたくないっ!」
「駄々こねてんじゃねぇよ小娘が!」
涙を流しながら喚く矢矧を一喝する。俺の剣幕に驚いたのか、ビクリと身体を震わせて身体を縮こませる矢矧。
「なぁ、矢矧よ。お前さんの提督はクソ外道かもしれん。だが、お前さんは間抜けも間抜け、大間抜けだぜ?」
「え……?」
「お
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