第五十七話 卒業式その二十七
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「アイドルになれるとか声優さんとかね」
「あら、そこまでなの」
「そう、本当にね」
そんなことをずっと言われたことを思い出しています、後輩の子にそんなことを言われるなんてなかったです、他の誰にも。
「言われてるわ」
「それは相当なものね」
「私がなれる筈ないのに」
そうした職業にはです。
「それなのに言ってくるのよ」
「なれないのは教会継ぐから?」
「というか私には無理よ」
こうお母さんに答えました。
「そうした派手なお仕事は」
「いえ、千里なれるかも知れないわよ」
お母さんの返事は少し真剣なものでした。
「お顔も声も可愛いから」
「そうかしら」
「相当って言ったけれど」
さっきのお母さんの言葉です。
「このこともね」
「何かあるの?」
「あの子千里を見てるわねって思ったのよ」
「それで言ったの」
「ええ、千里のことをそこまで見てるなら」
それならというのです。
「これはいいことよ」
「そうかしら」
「ええ、だったらあの子ともっとお話して」
「お話するの?」
「そう、今以上にお話しておみちのこともどんどん教えてあげて」
そうしてというのです。
「いい先輩になってあげるのよ」
「いい先輩ね」
「千里が一年生の時に同じ部屋の人がいたよな」
お父さんも運転しつつ前を見ながら言ってきます。
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