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戦国異伝供書
第七十八話 紺から紫へその二

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「それで」
「くじ引きが勝負かはともかく」
 それでもとだ、元親も応えた。
「さすれば」
「それで、ですな」
「決めましょうぞ」
 元親は快諾した、そうしてだった。
 二人でくじ引きをした、その結果勝ったのは。
「おお、では」
「はい、それではですな」
「それがしが話させてもらいましょう」
 元親は笑顔で述べた。
「これより」
「それでは」
「伊達殿はそれがしの後で」
「ははは、それがしは負けたので」 
 それでとだ、政宗は元親に笑って応えた。
「他にいい方がおられれば」
「後にですか」
「そうさせて頂きます」
「左様ですか」
「はい、ではこれよりですな」
「それがしのことをお話します」
 元親は謙遜して述べた。
「今から」
「さて、長曾我部殿は鬼と呼ばれていますな」
 羽柴が笑って言ってきた。
「まさに」
「はい、そのこともです」
「これよりですな」
「お話させて頂きます」
「左様ですな」
「ではそれがしの元服する前から」
 その頃から話すとだ、元親は前以て述べた。そして実際にその頃のことから話すのだった。
 元親は長曾我部家の嫡男として岡豊城に生まれた、この城は土佐の中央にあり長曾我部家はこの城の周りを勢力圏としていた。
 だが土佐は多くの国人がおりその主である国親は。
 よく家臣達にこう言っていた。
「土佐は国人が多いな」
「はい、実に」
「大小実に多くあります」
「西の一条家が力が大きく」
「まとめ役でありますな」
「当家の後ろ盾でもありますし」
「父上もな」
 国親は自分の父の話もした。
「一度この城を攻め落とされてな」
「はい、何とか逃れられ」
「一条様に助けられ戻っております」
「あの時はどうなるかと思いましたが」
「何とか戻れました」
「大殿もご無事でしたし」
「腹を切られるおつもりだったというが」
 国親の父である兼序はというのだ。
「ご無事で何よりであったな」
「全くです」
「我等の力土佐では大きくありませぬ」
「精々一万四千石です」
「この土佐の中で」
「土佐は二十四万石というが実は四十万石はある」
 それだけはとだ、国親は述べた。
「その中でほんの一万四千石じゃな」
「その程度ではです」
「また何時他の国人達に攻められるか」
「実に小さいものですから」
「どうなるかわかりませぬな」
「ここはじゃ」
 国親は家臣達に考える顔で述べた。
「一つずつ、他の家を縁組等をしてな」
「そうしてですか」
「そのうえで、ですか」
「こちらに取り込んでいく」
「そうしていきますか」
「うむ、そしてじゃ」
 そのうえでというのだ。
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