揺籃編
第十一話 過去、現在、そして明日へ
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だ呆気にとられたまま俺を見ている。
「ヤマト…お前、いつそんな勉強してたんだよ?」
「昔からだよ」
そう、昔から…。
「ウィンチェスター、ところで君は士官になる気はないか?」
「なぜですか?」
「君がアッシュビー元帥の再来かどうかは分からない。だが先日君が見せた作戦立案能力、そして今話したような識見は士官の立場で活かされるものだ。…これは決して君達兵士の立場を卑下しているわけではないぞ。だが才能を活かすには立場が必要だ。君の才能は下士官という立場では活かされない才能なのだ。分かるかね?」
「それは…分かります。ですが、私はまだ若造ですし、しかもこの間昇進したばかりですよ?」
「それは関係ない、士官になる道は三つある。士官学校に入学する。武勲、功績立てて昇進する。まあこれは通常だ」
「ではもう一つは何ですか?」
「士官学校に入るのには変わらないが、将官推薦で入学するのだ」
「そんな事が出来るんですか?」
「推薦枠があるのだよ。下士官兵のうち、特に優秀と認めた者に許される制度だ。普通に功績を立てれば士官にはなれるのだから、あまり使われないがね。その点、君は下士官術科学校を出ているし、直接分艦隊の勝利に結び付くような功績をあげている。充分に推薦の条件を充たしている」
ほぇー。そんな制度があったのか。確かに、直接将官に推薦される下士官なんてあまりいないだろう。
でも…また学校に戻るのか?一人じゃ嫌だなあ。
「ありがたいお話ですが、ご期待に添えるかどうか…当然中途編入で入学ですよね?」
「そうだ。階級と過去の軍歴を加味して、二年生に編入される」
「編入でしかも将官推薦枠で、なんて…在校生からの風当たりが強くないですか?」
「それはあるだろう。だから君一人では辛かろうと思って、バルクマン兵曹長とダグラス兵曹長も推薦しておいた」
「おいた…って、もう決定事項なんですか!?」
「可否はまだ分からんよ。もしも推薦が通らなくても、推薦に値する人物、という評価は残る。となると嫌でも士官への道は近いという事になる。…現在の行動が終わる頃には結果が出るだろう。生き残る事だな、ウィンチェスター。そろそろ私は戻るとするよ」
6月10日17:00 アスターテ星系、エル・ファシル警備艦隊第2分艦隊、旗艦アウストラ
オットー・バルクマン
「ヤマト、お前といると楽しいよ」
「ありがとう」
「ありがとう、じゃないよ!士官学校だぞ!?俺は嫌だぞ?」
「俺だって嫌だよ。でも断れると思うか?相手は准将閣下だぞ。まあ断わるも何も、既に推薦されてるんじゃ断り様もないけどな」
「はぁ…また学生生活かよ。ハイネセンに戻れるのは嬉しいけどさあ」
「マイクは喜ぶだろうな」
「ああ、絶対に喜ぶ。あいつ何してるのかな。もうハイネセン
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