暁 〜小説投稿サイト〜
提督はBarにいる。
急報、そして救難
[3/3]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
要不可欠な装備といえる。何しろそれが無ければ海上を進むことはおろか、立つ事すらままならない。緊急時には艤装をパージする機能も付いていない訳ではないが、その機能も艦娘自身の意識がはっきりしていて、尚且つ自分の意思で行う処置だ。意識を刈り取られたからと勝手に外れるような代物ではない。

「……つまり、あの矢矧は故意にあの様な姿になるように仕向けられた可能性があると?」

「胸糞悪い話だが……まぁ、そういう事になるんだろうな」

 状況から鑑みるに一番可能性の高い物。それは『口封じ』だ。あの矢矧の錬度の高さからいって、何処かの鎮守府で秘書艦を務めていた可能性が高い。その際に、彼女は何かを知ってしまったとしたらーー?そしてそれが、非合法な上に提督……ひいては鎮守府の運営に不都合な物だったとしたら。

 艦娘は軍人である。国家の抱える暴力装置だ。その生き死には戦場という特殊な環境下であれば如何様にも操作できる。何しろ目撃者は自分の『手駒』である艦娘と殲滅すべき『敵』しかいないのだ、艦娘にどの様な手段であれ口を噤ませる事さえ出来れば、謀殺とて名誉の戦死に摩り替える事が出来る。

「……まぁ、あくまでこれは俺の状況から見ての推論だ。普通に戦闘で大破して漂流してた可能性もあるしな」

「その割には顔が苦々しげですが?」

「……どうにもクサいんだよなぁ、臭って来るんだ。外道の臭いって奴が」

 提督は悪党である。自分の信念の下、犯罪行為と判っていてもそれが必要な事ならば躊躇わずに行うだけの胆力がある。だが、『悪党』と『外道』の線引きは明確にされている。どの様な悪事であれ責任は自分で持つべき、というのが提督の持論だ。それを部下に押し付けて自分はのうのうと生きていく様なのは悪党ではなく道を外れた正に外道の行い。その様な真似だけは決してすまい、させまいというのが提督の信念である。

「まぁ、全てはあの矢矧が目を覚ましてからの話だ。今は大人しく回復を待つとしようや」



[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ