at sweet day
デアレスト・ドロップ
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自分に暴かれるだけか。
彼をお姫様抱っこするのは、いささか引っ掛かるところがあるが、出来てしまうのだから仕方ない。
自分と大差ない背丈で、軍人とは思えない細身で、下手をすれば自分より軽いかもしれない。
彼がそんな体格なのが、悪いのだ。
そう、悪いのは彼で、ワタシじゃない。
自己肯定と責任転嫁で、ワタシはもうマトモな判断力を失っている。
自覚しておきながら、自分を止められない。
やはりワタシは、最低な女だ。
ベッドの上に彼をそっと寝かせて、その上に四つん這いで覆い被さる。
こんな茶会の時でもジャケットにワイシャツとネクタイを欠かさないことに半ば呆れつつ、勝手に震える指先でネクタイを緩めていく。
指先がまるで自分の身体ではないようだ。
箸で指先の仕事をしているのだろうか?というようなぎこちなさ。
まどろっこしい。
でも、なけなしの理性が指先で丁寧に彼のワイシャツのボタンを外していく。
彼の喉元が見えた。鎖骨が見えた。
胸板が見えた。
彼とは確かに違う、彼の身体を見た。
あぁ、やっぱりか。
ワタシは、
息苦しい。
なんか重い。
そんな感覚で目を覚ました。
確か、金剛と二人で茶を飲んで……というところで自分が右腕で金剛の肩を抱き寄せていることに気付いた。
金剛はうつ伏せで覆い被さっていて、自分はその金剛を抱き締めているわけだ。
何が起きた?
茶会でどうやら意識が落ちた、ということはわかる。
今回の茶にアルコール類などは入っていないのに酩酊した?
いや、今は原因を考える時ではない。
現状、見慣れぬ天井を仰ぎ見るこの状況。
腕の中に金剛。
日の落方を考えれば二時間弱の空白。
もう一度、腕の中にいる金剛の姿を見る。
眠っているのでわかりにくいが、目元が赤い。
口から漏れる細い吐息が首元に当たる。
ひとまず、金剛を起こそう、と考えた。
そして、彼女の肩を叩こうと思って、手を止めた。
今は、寝かしておいたほうがいいのではないかと。
ふと、そう思ったのだ。
「仕方ない」
彼女からそっと離れて、ベッドに寝かせる。
ブラウスの赤いリボンタイを弛めて、ボタンを上から3つほど外して、顔にかかっている前髪を払って、ここまで済ませてから、自身の脱がされかけの状態のシャツのボタンとネクタイを直して、改めてベッドの上の眠り姫の姿を見る。
起きては……いない。
もしくは、起きていないと思っておいたほうがいいのかもしれない。
ひとまず、部屋を出るとしよう。
起きた時に、私の顔を見たくはないだろう。
そっと扉を開け、閉めるまでほとんど音を立てずに、部屋を出ることは出来た。
幸い、廊下には誰もいない。
こういう時は下手
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