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彼願白書
at sweet day
デアレスト・ドロップ
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間が遅くなったように感じた。
風味を評するには不適な感想だが、いつもより、暖かな、緩やかな、そんな感じがした。

「どうデスカ?」

「なんだろうな。落ち着く」

「なら、よかったデス」

一言で言うなら、そう、落ち着く。
立っていた気が撫でられて寝かされるような、そんな感覚がした。











最初は、ほんの少しのいたずら心だったのかもしれない。
飲んでると眠くなるような風味の茶葉。
キーマンとは言うものの、まるで感覚の違う風味の怪しい茶葉が出回っているのを聞きつけ、物は試しと探してみたら、割とアッサリと、一般的ではない流通手段ではあったが出てきたのだ。
で、もちろん自分で飲む前に中身を改めたがもちろん毒物になるようなものは確認されなかった。
ただ、少しリラックスしやすい成分が多く見られる、という明石の分析を聞きながらふと、思ったのだ。

本当にリラックスしやすいというのなら、この泊地で一番、リラックスから程遠い人間が飲んだらどうなるのだろうか?

その結果が、金剛の目の前にある。

一度として見せたことがない自身の私服姿、招いたことがない自室、呼んだことのない茶会、それら全て込み込みで緊張していたであろうテートクを、カップ一杯で微睡ませるとは、流石に予想出来なかった。

テーブルに突っ伏すようなことはなく、椅子に座った姿勢のまま、目を閉じて細い寝息を立てている。

何かしらのファイルをアイマスクに背もたれに身体を預けて昼寝している姿なら幾度か見たことはあるが、実際には呼べば反応するくらいには神経を尖らせているのだ。

そんなテートクが、呼んでも反応がないレベルで落ちている。

いつもなら有り得ない光景に、自身の中でいろんなことが頭を過る。
長年の間に積もり積もったもの、この前のブルネイで見たもの、心の奥底にしまっていたものが、自身の背中を突き飛ばすように圧してくる。

分の悪すぎる賭け、あるいはヤケ。
そんなことを試みようとしている自分がいる。
ダメだダメだ、と踏みとどまろうとする自制心すら逆に煽りに感じる。
踏み出せば、もう今までのようにはいかなくなる。
それを一番、自身がわかっているハズなのにだ。

「テートク、起きてマスカ?」

確認はした。
反応はない。
反応がないなら仕方ない。
ワタシは悪くない。

こうやって自身の行動に言い訳を始めた。
これは致命的だろう。
自分の責任じゃないと言い訳して、保険をかけて、好き勝手にしでかそうとしているのだ。

「テートクが、悪いんデスヨ」

なんて、ひどい言い掛かりだ。
全ては自分で仕組んだことなのにだ。
ワタシは、今から最低な女になる。
いや、元から最低な女だったのが、
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