at sweet day
デアレスト・ドロップ
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では次はその目的だ。
新しく気に入った茶葉が見つかった?
だったら暇を見て、こちらに顔を出してくる。
このような形式張った茶会を、それだけで開くようなことではない。
そもそも私と茶を交わすのは、彼女からしたら代償行為に過ぎないのだ。
もういない者への手向け。
法要や墓参りみたいなものなのだ。
私に付き合わせるのは、まぁ、当て付けなのだろう。
今回もまた、それと同じものだろうと判断する。
だからこそ、この形式張った茶会を開く理由がわからない。
結局、いくら考えても答えに辿り着きそうにない。
ならば大人しくその日を待つしかないか、と思考を止めた。
「さすが、時間通りの訪問ネ。待ってマシタ」
「世にも珍しい、お前からの招待状だ。無碍には出来ないだろう?」
その日は思っていたより早く、しかし1日ずつ日を刻んで、三日後にやってきた。
昼下がり、ティータイムの時間。
飾り気の少ない、質素というには少々の趣味のものが散見される、なんとも生活感の欠ける部屋。
それが金剛の自室だった。
窓際にあるそれほど大きくない丸テーブルと椅子がふたつ。
どうやら本当に金剛と二人しかいない茶会をやることになるらしい。
「金剛、他には誰が」
「来ませんヨ。テートク一人だけ、呼びマシタ」
本気か?
そう思ったのが一瞬、顔に出ていなかっただろうか。
気付かなかったのか、気付かなかったフリをしたのか、金剛はカップふたつに紅茶を注ぐと、お互いの席に置いて向かい側の席に座る。
なにか話がある、という程度のことではなさそうだ。
初めて見たかもしれない、金剛の私服姿。
それが、余計に事態の深刻さを浮き彫りにしている。
薄桃色の、少しだけ飾り気のあるブラウスに、白い毛糸地のカーディガン。
そして薄紅色で長丈のフレアスカート。
率直に言えば似合っている。
問題があるとすれば、着ているのが、似合っていることを安直に褒めるべきかすら悩むような相手であることだ。
「キーマンのいいのが入ったノ。口に合えばいいデスガ……」
「珍しいな。普段は「キーマンは死んだというのに、どうして空はこうも青いのか」と嘆いている君が、ね」
「だからこそ、デスヨ。キーマンのいいのを探すのはなかなか難しいのデース」
そう微笑む金剛は今回の茶葉をなかなか気に入っているらしい。
ますます、私と二人で飲むようなものではなさそうなのだが、金剛はこうして私を自室に招いた。
こんなことは、今まで一度としてなかったことだ。
全てが例外、全てが異常、全てが非日常。
目の前のティーカップの静かな紅い水面に、いつものフラットな自分の顔を確かめる。
大丈夫だ、判断力に鈍りはない。
紅茶に口付け、一飲みするまでが異様に時
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