揺籃編
第十話 奇跡前夜
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ター」
…何故俺だけ呼び捨てなんだ?
「そうだと思います。では参謀殿、参謀殿が敵の援軍の立場ならどうお考えになりますか?」
「何をやっていやがる、世話かけさせやがって…ってところか?」
「本音はそうでしょうね、正解です。ここでまた話は変わりますが、帝国とはどういう国でしょう?ああ、オットーもファーブル兵長も考えてみてくれ」
「はい、先生!暴虐なる専制国家です」
「そうだな」
「…二人とも、先生は不満そうだぞ。どうだ?ウィンチェスター先生」
意外にドッジ准将も楽しんでいるみたいだし、先生役になりきってやるか…。
「…帝国は皇帝、政府、貴族、軍、平民によって成り立つ国家です。まあ、皇帝と政府は同一視していいでしょう」
「軍は政府の一部ではないのか?」
「そうなんですが、少々事情が特殊です。帝国の宇宙艦隊は何個艦隊で成り立ちますか?」
「確か、定数だと正規艦隊が十八個だ」
「え!十八個もあるんですか!?同盟負けちゃう…」
「そう、十八個もあるんですよ。でも過去の大会戦でも実際に戦場で戦っているのは大体三個か四個、多くても六個艦隊が精々です。おかしいとは思いませんか?イゼルローン回廊を保持して、いつでも攻めて来れるのにやらない。たまにドッときて、終わり。こんなことをもう百五十年もやっている。攻撃に関する主導権を握っているのは帝国なのに、ですよ?」
「ううむ…確かにそうだ。無知をさらしているようで恥ずかしいが、何故だ?」
「単純です。定数を保持出来ないからです。またはその必要性を感じていない。その点に関しては同盟は偉い。曲がりなりにも定数の十二個艦隊を保持している、国防に関しては手抜かりがない。まあ、この事は今の話にはあまり関係ないのですけどね」
三人とも呆気にとられている。そうだろうな、目の前にある戦いの話をしているのに、帝国全体の話をしているんだからなあ。…ファーブルちゃん、コーヒーじゃなくてアイスティーをポットごと貰ってきてくれ。
話疲れるけどいい暇潰しになりそうだ。
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