揺籃編
第十話 奇跡前夜
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し、陸戦隊員は艦隊乗組員の事を偏向シールド越しでしか戦争の出来ない臆病者、ってお互いに罵りあってる。
ああ、俺は誰に何を話してるんだ?…とにかく暇なんだ!
「どうしたんです?難しい顔して」
「そうだそうだ。暇で仕方ないから顔だけ何か考えてる風に装ってるんだろ」
「…なんだ、ファーブル兵長とオットーか」
「なんだ、は無いでしょ、ひどいです。バルクマン曹長とそこで一緒になったから食堂に誘ったんですよ」
「一人で考え事か?」
「考え事というか…暇なんだよ」
「確かに…射撃管制、というか、砲術科は暇だろうな、この状況じゃ。第二警戒配置だし、まあウチも似たようなもんだけど…護衛で補給艦共々アスターテに待機じゃ、各艦の座標修正くらいしかやることがない」
「まあウチの分艦隊はどう見たって戦力外だからな。ところでオットー、回廊入口の状況、なんか分かる?」
「味方がだいたい千五百隻、帝国軍が約二千隻。兵力は帝国軍が優勢だが戦い自体は互角らしい」
「へえ。リンチ司令官も中々やるねえ」
「お前…他人事じゃないんだぞ」
「まあそうだけどね。でも今の状況じゃ半分以上は他人事だろ?」
ファーブルちゃんがコーヒーを淹れて来てくれた。ビスケットのおまけ付だ。給養員に同期の女の子がいて、茶菓子にと呉れたらしい。そして今その同期がサンドイッチを作ってくれているという。前回の戦いで下士官らしからぬ功績を上げた俺達は、ちょっとしたヒーローなんだそうだ。そしてこれは本当についでなんだが、その子はオットーの事がタイプらしい。…けっ。
「じゃあウィンチェスター曹長だったらどうします?もし他人事じゃなければ」
「俺だったら?…どうしようかな」
「他人事じゃないんですよ?フフ」
「戦わないね。うん、戦わない」
オットーが吹き出しそうになっている。何もウケ狙いじゃないぞ。
「危ない危ない、…ヤマト、敵がいるのに戦わないのか?」
「うん、戦わないね。戦わなきゃいけない、って決まってる訳じゃないからね。オットー、今回の戦いのキッカケは何だった?なるべく正確に」
「正確に?…第3分艦隊がイゼルローン前哨宙域で敵と遭遇…だよな?」
「もうちょっと正確に」
「はい!…第3分艦隊四百隻が、イゼルローン前哨宙域で帝国艦隊五百隻と遭遇。交戦状態に入りました!合ってます?」
「ファーブル兵長、正解。じゃあオットー、その後どうなった?」
「…第3分艦隊はティアマト星系方向に退きつつ、膠着状態に持ち込んだ。そこにヴァンフリート星系を突破したエル・ファシル警備艦隊の本隊が到着、帝国艦隊の側面を突く事に成功。第1分艦隊を帝国艦隊の後方に移動させて半包囲、その後イゼルローン回廊から新たな帝国艦隊が出現…」
「そう。ファーブル兵長、オットーにコーヒーのおかわりお願い。
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