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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
揺籃編
第十話 奇跡前夜
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作業から解放された。
補給艦の手配といっても何をしていいか分からないから色んな人に聞いて回らなければならなかった。
しまいには『なんでこんな奴寄越すんだ!』なんてクレームの電話を作戦室に入れられる始末だ。
大体こんな若造に補給艦の手配なんてやらせる方が悪い。
結局、『君も一応参謀なのだから、最近の戦いの戦闘詳報でも当たってはどうか』という事になってしまった。これなら私でもやれる。

 ……ひどい。そもそも戦いに意味があるのかどうか分からないような遭遇戦ばかりだ。「ぶらついていたら目が合ったからケンカになった」様な戦闘が多い。そもそも戦闘はお互いにやる気がないと起きない。
戦意過多、戦略無視…ああ、無視ではないか、かたや「自由惑星同盟などと僭称する叛徒への懲罰」で、もう一方は「傲慢で暴虐なる専制国家との神聖な戦い」なのだから、どれだけ無意味に思えても意味はあるんだろう。
…これはこの間の戦闘だ。…第2分艦隊か。…面白い、センサーの性能限界を利用し兵力数を小惑星を牽引する事でごまかして、別動隊を編成し側面を突かせる。別動隊を抽出した分の火力の減少は連続斉射で補う…。ああ、なるほど、敵の方が兵力は優勢だったがこちらの方が戦艦の絶対数で勝っていたのか。だから短時間なら火力の減少を戦艦の連続斉射で補えると考えた…。
余程の至近距離じゃなければ艦型、艦種までは分からないからな、でも味方は相当冷や汗かいていただろう。小惑星を牽引しているという事が露見しないよう連続斉射で敵を近づけない様にしたんだろう。
いやあ、面白い、こんな事を考える人がいるのか。
立案者は…下士官?ヤマト・ウィンチェスター兵曹長?まだ18歳?…世の中は広いなあ。

 

6月10日15:00 アスターテ星系、エル・ファシル警備艦隊第2分艦隊、旗艦アウストラ
ヤマト・ウィンチェスター

 やることがないから食堂に来た。タンクベッド睡眠も飽きた。
あっちに行ったり、こっちに行ったり…ウチの艦隊は何をしてるんだ。確かにやってることは哨戒ばかり、そして補給艦の護衛ときた。決して軽視してる訳じゃないけど、いち乗組員の立場ではものすごく暇だ。気が休まらないのは司令部だけ…下っぱとしては、本当に戦争しているのかと疑いたくなる。
パランティアの戦いは…不謹慎だが楽しかった。心地よい緊張感。
自分に被害が及ばない限り、リアルなゲームなんだよな。何故って?相手の顔が見えないからに決まってるじゃないか。心地よい、でも確かにあの緊張感は重い。でも…それだけだ。
俺はどこか感覚がおかしいのか?30年余計に生きてるから麻痺してるのか?
だから艦隊の乗組員と陸戦隊員の仲が悪いのは当たり前なんだよな。
乗組員達は陸戦隊員の事を野蛮人とかトマホークを振るう事しか出来ない能無し、って言ってる
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