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戦闘携帯のラストリゾート
抉り取られた悲壮の意思
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怒りを、あんなに尊敬していた父親にぶつけてる。

「……私はポケモンバトルによる人々の笑顔のために人生を捧げると誓った。母さんもそれを承知でお前を育て、今お前は十分に私の役に立ってくれている。お前はもう子供じゃない。母さんは、もう自分の生きる意味を十分に果たした。最後にお前が想ってくれて本望だっただろう」
「────」
 
 キュービの心の中で、何かが壊れたのがラティアスを通してはっきり聞こえた。あの少年が酷いことを言ったときはあの子の代わりに、聞こえないとわかっていてもわたしが怒鳴りたいくらいだったのに。
 今の表情は、他人のわたしが口を挟むことなんて決して赦されないほど。彼女の心を代弁しようとすることさえおこがましいと思ってしまうくらい。
 わたしには理解出来ない、怒りに満ちていた。 

「お父様とお母様からもらった瞳が大好きだった。お客さんに笑顔が可愛いって言われるのも嬉しかった。ポケモンバトルではお父様やダイバ君に全然敵わなくても、私だから出来ることがあるって言われて幸せだったわ」
「ああ、お前の優しさと元気は他人を惹き付ける。だからこれからも、このフロンティアでみんなを笑顔に──」
「でも、お父様がわたしとお母様を自分の目的のための道具としか思わないなら。私が役にたつのはお父様の娘で可愛いだけなら。……もう、こんなのいらない」
(えっ……!?)

 キュービは自分の目に手を当て、わたしの見間違いでなければ。
 片方の青い瞳を抉り出すように、血が出るのもお構いなく人差し指を眼球の中に突っ込もうとした。

「なっ……ジュペッタ、金縛り!」
 
 チャンピオンが相棒を素早く呼び出し、キュービの動きを封じる。

「頭を冷やせ。お前の一生を左右するんだぞ!!」

 それはお母さんが死んだことを口にしたときよりもずっと焦った声だった。

「お父様が気にしてるのは私じゃなくて、フロンティアの象徴が傷つくかどうか。そうよね?」

 動きを封じられているのに彼女の指は無理矢理硬いものを押したときみたいに真っ赤になっていく。金縛りを受けた上で無理矢理動かそうとしている。

「お前ももう子供じゃないんだ。その体はもうお前一人のものじゃない。お前の笑顔を待っている人々がいる。お前を一人の女性として好いている少年がいる。私もお前に期待している。自分で自分を傷つければ悲しむのは死んだ母さんもだという事もわかるだろう」

 ……それは誰のための説得なのか。娘のためか、自分の理想のためなのか。わたしにはわかりっこない。ただ、怒りのあまり相手ではなく自分の目をえぐり取ろうとするキュービに比べたら、酷く薄っぺらに聞こえた。

「いいえ、わからないわ。私はお父様の役に立つための忙しさにかまけて、自分の悲しい気持ちをお母様
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